■マイナンバーと年末調整に関する書式について
2016/02/09
マイナンバーなかなか届きませんね。新聞では誤送も何度か報じられていて既に不安な走り出しです。
会社ご担当者様もマイナンバー(以下、個人番号)についてその取扱いご準備を進められていることかと存じます。
それを踏まえ、年末調整の準備もするこの時期に回収される扶養控除申告書の個人番号記載欄について取り扱い方のイメージはお済みでしょうか?この記載欄は平成28年分のものから設けられています。個人番号が記載されている場合、立派な特定個人情報になりますので安全管理措置が必要になってしまいます。年末調整の実務でも傍らに置いて利用するとなると取扱いが制限される可能性があり不便が予想されます。
そこで、安全管理措置の準備が未済なのであれば、今年中に回収するものについては、個人番号の記載が無くても問題は無いので、年末調整用に今年の間に回収する扶養控除申告書は平成27年分の書式を使うことや平成28年分のものを配布しても個人番号記載欄については塗りつぶし記入をさせない等の対応をしましょう。今年の年末調整を終了しても、来年以降の給与計算や年末調整に平成28年分の書類を用いて提出させることとなります。その際には基本的には個人番号を記載することとなりますので、やはり安全管理措置が必要な特定個人情報となります。その取扱いの難しさを軽減するために行政は以下のような見解を示しています。
●国税庁ホームページ源泉所得税関係に関するFAQより
Q1-9
扶養控除等申告書の個人番号欄に「給与支払者に提供済みの個人番号と相違ない」旨の記載をすることで、個人番号の記載に代えることはできますか。
A
平成28年1月以後に提出する扶養控除等申告書には、従業員本人、控除対象配偶者及び控除対象扶養親族等の個人番号を記載する必要がありますので、その記載内容が前年以前と異動がない場合であっても、原則、その記載を省略することはできません。
しかしながら、給与支払者と従業員との間での合意に基づき、従業員が扶養控除等申告書の余白に「個人番号については給与支払者に提供済みの個人番号と相違ない」旨を記載した上で、給与支払者において、既に提供を受けている従業員等の個人番号を確認し、確認した旨を扶養控除等申告書に表示するのであれば、扶養控除等申告書の提出時に従業員等の個人番号の記載をしなくても差し支えありません。
このように扶養控除等申告書に個人番号を記載しない手段が明白になりました。
また扶養控除申告書の取扱い以外にも平成28年分以降の本人交付用の源泉徴収票について以下の様にその取扱いが改正されましたので注意してください。
●所得税法施行規則93条
(給与等の源泉徴収票)
第九十三条 居住者に対し国内において法第二百二十六条第一項(給与等の源泉徴収票)に規定する給与等(以下この条において「給与等」という。)の支払をする者は、同項の規定により、その給与等の支払を受ける者の各人別に、次に掲げる事項を記載した源泉徴収票二通を作成し、一通をその給与等に係る所得税の法第十七条(源泉徴収に係る所得税の納税地)の規定による納税地の所轄税務署長(第二号イにおいて「所轄税務署長」という。)に提出し、他の一通をその給与等の支払を受ける者に交付しなければならない。
一. その支払を受ける者の氏名、住所又は居所及び個人番号
二. 次に掲げる源泉徴収票の区分に応じそれぞれ次に定める事項
イ 所轄税務署長に提出する源泉徴収票 その給与等の支払をする者の氏名又は名称、住所若しくは居所又は本店若しくは主たる事務所の所在地、電話番号及び個人番号又は法人番号
ロ 給与等の支払を受ける者に交付する源泉徴収票 その給与等の支払をする者の氏名又は名称、住所若しくは居所又は本店若しくは主たる事務所の所在地及び電話番号
記載のとおり、給与等の支払を受ける者に交付する源泉徴収票について記載する事項には個人番号が記載されていません。よって、本人に渡す源泉徴収票には個人番号を記載しないようにしましょう。記載して渡してしまうと本人が意図せず自身の収入証明のため民間会社に提出する等、会社に許された目的外の利用をした場合に会社に責任が生じてしまうリスクがあります。
この2点は我々も事務を行う際に懸念していたことですが、何とか年末調整が本格的に始まる前に取扱い方法が明確になったことに多少安心できました。