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傷病手当金について

   

こんにちは、まだ5月だというのに暑い日がつづいて今年の夏は猛暑と言われているので、今から嫌になってしまいます。

さて、季節の変わり目など、体調を崩される方も多いですので、もし、急にケガや病気をしてしまったときに請求する給付についてお伝えいたします。

会社の仕事中のケガや病気・通勤中のケガや病気は要件を満たす場合には、労働者災害保険法にある、休業給付や休業補償給付を受けることができます。

では、私的な時に起きた病気やケガで働けなくなった時、受けることができる給付として、傷病手当金というものがあります。聞いたことがある方も多いかもしれません。

傷病手当金は、病気休業中に被保険者とその家族の生活を保障するために設けられた制度で、被保険者が病気やケガのために会社を休み、事業主から十分な報酬が受けられない場合に同一の傷病で、最大で1年6か月間支給されます。

支給される条件

傷病手当金は、次の4つの条件をすべて満たしたときに支給されます。
1.業務外の事由による病気やケガの療養のための休業であること
2.仕事に就くことができないこと
3.連続する3日間を含み4日以上仕事に就けなかったこと
4.休業した期間について給与の支払いがないこと

この要件を満たした場合には支給される額が今年の4月から変更となり、

支給開始日以前の継続した12か月間の各月の標準報酬月額を平均した額÷30日×3分の2となりました。この支給開始日とは、一番最初に給付が支給された日のことです。例えば、労務不能と認められていた日について、有給休暇などのために、上記の要件を満たさず、支給日が休業6日目からである場合は6日目の以前12ヵ月なります。

4月1日以前は休んだ日の標準報酬月額の3分の2であったため、等級が変化した直後であると、得したり、損したりするといったことがありましたが、そういった点が解消されました。

傷病手当金を受けているときの保険料について

欠勤をし、賃金が発生していないので、社会保険料は免除と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、保険料は免除にはならず、会社の負担と本人負担は休業中も発生いたします。本人から振込をしてもらう等の対応が必要になります。

また病気により欠勤が長くなった場合に標準報酬月額を下げることができるのか?とよくご質問いただきます。休業が長くなり賃金が一切支払われていないのであれば、標準報酬月額が下げられるのではないかと疑問を持たれる方もいらっしゃるかと思います。健康保険料の免除を受けられないにしても、健康保険料が下がれば病気の従業員も会社も負担が少なくなって良いのではという意見もあります。 しかしそれはできません。

標準報酬月額を変えるには「定時決定」か「随時改定」の方法をとることになりますが、定時改定については4月から6月に支払った給料の基礎になる日数(出勤日数)が17日以上ある月の平均賃金で標準報酬月額を算定します。また随時改定についても賃金の増減の生じた月から3か月間の平均賃金で計算しますが、その3か月の各月の出勤日数は20日以上なければ随時改定を行うことができません。 よって傷病手当金を受給し、欠勤が長期に及んでいる以上標準報酬月額を下げることはできないのです。

そのほかでは、有給休暇と傷病手当金はどちらが得なのか?と相談されることがあります。有給休暇は基本的に本人の希望によって発生するため、休業の始めが有給休暇であることはよくあります。その場合は有給休暇として賃金を支給された日については要件の給与の支払いがないことの要件が満たされないため、傷病手当金は支給されません。休業の日数には含まれるので、待機の期間には含まれます。また、有給は消化されるものに対し、傷病手当金については、欠勤控除され、医師に労務不能を証明された日について支給されるものとなります。制度として全く違うものですので、どちらが得かということはできません。

また、傷病の状態によっては、仕事復帰ができず、退職されたときに継続して給付をうけることができる場合があります。要件としては資格喪失の日の前日(退職日等)まで被保険者期間が継続して1年以上あり、被保険者資格喪失日の前日に、現に傷病手当金を受けているか、受けられる状態上記の【1・2・3の条件を満たしている】であれば、資格喪失後も引き続き支給を受けることができます。ただし、一旦仕事に就くことができる状態になった場合、その後更に仕事に就くことができない状態になっても、傷病手当金は支給されません。

身近な制度でよく耳にする機会も多いものですので、是非覚えておいてくださいね

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