■組織に勇気を醸成する
組織に勇気を醸成するためには、次の3つのステップが必要であるとアドラーは教えてくれています。
- 第1のステップ・・・相互尊敬・相互信頼の関係の構築
- 第2のステップ・・・相手が自分自身を勇気づけられる環境の構築
- 第3のステップ・・・組織の役に立つように勇気づける感覚の構築
では、それぞれについて、具体的な言動をあげながら見ていきます。
第1のステップ(相互尊敬・相互信頼の関係の構築)
10のマイナス要因
①「またうまくいかないかも」「こうなったらどうしよう」<マイナス思考>
②「あの人よりできていない」「この人にはいつも負けている」<他人比較>
③「しかしさ」「ところでさ」「そんなことよりさ」<傾聴ができない>
④「こんなこともできないのか」「いいかげんにしろ」<怒りでコントロール>
⑤「○○さんはいいよね、私はこうなんだけど・・」<劣等感発言で課題回避>
⑥「でも」「だって」「どうせ」<自分・他人不信頼状態>
⑦「○○すべき」「○○であるべき」<自分と考えが違う人を受け入れられない>
⑧「私は、どうせ不幸なのよ」<故意に問題行動を起こして人の注目をもらう>
⑨「今回は私の負けね」<コミュニケーションを勝ち負けで考える>
⑩「違うんです、私のせいではないんです」<間違い認めは負けの証し>
10のプラス要因
①「きっとうまくいく」「かならずできる」<プラス思考>
②「いろんな人がいる」「いろいろな考えがある」<他人受容>
③「それで」「なるほど」「それはすごいね」<傾聴ができる>
④「こんなやりかたもあるよ」「わたしはこう考えるよ」<助言で支援>
⑤「私ならこの問題を乗り越えることができる」<楽観主義で課題取組>
⑥「わかってもらえる」「伝わるはず」<自分・他人信頼状態>
⑦「どうしたらいい」「そうしたいんだ」<自分と考えが違う人を受容できる>
⑧「ありがとう」「助かった」<感謝を惜しみなく表現できる>
⑨「今回は勉強になりました」<コミュニケーションを素直な受容で考える>
⑩「ごめんない、私のしたことです」<間違いを認めることは成長の証し>
信頼できる8つの傾聴方法
①「○○と思うのですね」「○○したいということですね」<共感して聴く>
②「それはおもしろそうですね」「それからどうしましたか」<興味で聴く>
③「前屈みになる」「うなずく」「メモをとる」<身体全体で聴く>
④「○○さんはどうでしたか」「○○さんならどうしますか」<双方向で聴く>
⑤「確認してもいいですか」「大きくうなずく」<最後まで聴く>
⑥「それはよかったですね」「私もそう思います」<好かれるあいづちで聴く>
⑦「どうしてそう思ったの」「それはどんな感じだったの」<相手理解で聴く>
⑧「そうなんだ、そう思う理由を聴かせて」<相手の主観に流れないで聴く>
第2のステップ(相手が自分自身を勇気づけられる環境の構築)
9つのポイント
①「おはよう!○○さんの挨拶は元気があって気持ちいいね」
「ゴミを拾ってくれたんだ。いつも気づいてくれてありとう!」→ダメなところではなく、良いところを伝える
②「進歩・成長したい」「夢中になる時間を過ごしたい」
「周囲の人達と暖かい関係を保ちたい」→ほめるより勇気づけをする
③「私はあなたに○○をお願いしたい。それは・・・・」
「私はあなたに、○○してほしいの。なぜかというと・・・・」→【私】を主語にして伝える
④「この評価の理由を教えて下さい」「あの時、とてもうれしかった」→【感情】を伝える」
⑤「~のやりかたもあるけど、どう思う」「こうなってしまった理由は」→原因を追求するのではなく未来志向で提案する
⑥「わたしが対応するから、どうするか考えてみて」→自分の問題に踏み込んでくる他人にNOを言う
⑦「わたしは○○をわかってほしい」→自分の言いたいことを明確にする
⑧「何を」「どうしてほしいのか」「申し訳ありません」→お願いと断りは簡潔にする
⑨「わたしは○○してほしいと思っているんだ」→叱るときは「私は正しい」ではなく「わたしはこう思う」
第3のステップ(組織の役に立つように勇気づける感覚の構築)
言いたいことを明確に伝える方法→ヨコ(対等)のコミュニケーションが築ける
①何を言いたいか
②どのようにしてほしいか
③なぜなのか
④客観的事実と主観を分ける
⑤短文で語尾まで伝える
叱るときのポイント→本人のためだから聴いてくれる、改善してくれると信じる
①何について、なぜ叱るのか、どのように改善してほしいのかを伝える
②伝えることは一度にひとつのことに限定する(あれもこれも叱らない)
③次のチャンスを与える
④相手にも事情があるならば、それに耳を傾ける
心がけたい言動
①身近な相手だからこそ率直に伝える
②思い込みでなく客観的な事実を伝える
③言いにくいことでも相手の目をみて真摯に伝える
④断るときは相手そのものを責めない
⑤自分を認めてくれない相手を責めない
自分が周囲の人達を勇気づけられる存在になるためのポイント
①突然にいい人にならないこと
②対象を絞る(苦手な人、不得意な人を優先)
③中途半端に終わらせない(最初からやらない方がましとなる)
④とにかく継続実践すること
⑤自分を励まし続けること
「勇気づけ」の二大ポイント
①勇気づけは相手を操作する下心があるうちはできない
②教えるより、結末を体験してもらう