組織に人生のタスクを活かす(行動面)
「人は何のために生きているのでしょうか?」この問いに対して、アルフレッド・アドラーは、こう答えました。
「それは幸せになるためだ」と。
「では、幸せになるためには、どうしたらいいのでしょうか?」この問いにアドラーは答えます。
「人生のタスク(課題)に対して目標を掲げることだ」と。
人生のタスク(課題)について、アドラーは人間の行動面と心理面のあり方に分けて、目標を掲げています。
まず、行動面の目標は、
- 自立すること
- 社会と調和して暮らせること そして、この行動を支える心理面の目標として、
- わたしには能力がある、という意識
- 人々はわたしの仲間である、という意識今回は、行動面の目標について触れていきます。
- 自立すること 自立することとは、「自分の能力を発揮できること」です。具体的には、「熱中できる活動を増やす」「目標達成に全力を尽くす」となります。アドラー心理学では、その人独自の思考や行動の傾向を「ライフスタイル」と呼びます。この「ライフスタイル」は4つに分類されます。
安楽型 | 人気者型 | リーダー型 | 優秀型 | |
最優先目標 | 安楽でいたい | 好かれたい | リーダーでいたい | 優秀でいたい |
嫌なこと | 苦労すること | 無視されること | 服従すること | 無意味な時間 |
嫌なことの回避 | 一番安楽な道を選ぶ | 他の人を喜ばせる | 他の人をコントロールする | 人一倍努力する |
長所 | 気楽さ | 親密さ | リーダーシップ | オールマイティ |
短所 | 持続しない | 自分がない | 柔軟性がない | 背負いすぎる |
マイナスイメージ | いらいらする | 信用できない | 反発する | ジェラシーを感じる |
キーワード | 面倒くさい | 不安 | 怒り | 憂うつ |
あるべき姿 | 私は面倒を見られるべきだ | 私は愛されるべきだ | 私は上に立つべきだ | 私は成功するべきだ |
まずは、自分のタイプを知ることです。
安楽型であるなら
・自分の取り組みに優先順位を付ける
・中間チェックを怠らない
・仲間からフィードバックをもらうようにする
人気者型なら
・「人はそれほど自分に関心がない」との認識を持つ
・仲間からの信頼を確保するような行動を取る
・「人から嫌われることもある」ことを受け入れる勇気を持つ
リーダー型なら
・主導権争いを回避する
・参謀役を配置する
・競争より協力に対して、意識と行動の転換を図る
優秀型なら
・相手の人が期待しているレベルの確認を行う
・時には自分の不完全さを許す
・ほどほどに息抜きや手抜きをするように心掛ける
自分のタイプを知った上で、その能力を発揮できる習慣を身につけることです。
アドラーは言います。
「私たちは自分で人生を作っていかなければならない。それは、私たち自身の課題であり、それを行うことができる。私たちは自分自身の行動の主人である。」
2.社会と調和して暮らせること 社会と調和して暮らせることとは、「自分の能力が他の人のためになっていること」です。具体的には、「感謝の気持ちを表す」「親切にする」「人間関係を育てる」となります。 人生のタスク(課題)とは、「仕事・人間関係(交友)・愛」の3つだとアドラーはいいます。自分の能力が他の人のためになるとは、仕事・交友・愛についてどんな対人関係を築くかに左右されるということです。つまり、他者との協力関係で仕事ができるのか、他者との良い関係で交友ができるのか、パートナーとの愛を人類継続のためにつかうことができるのか、それが他の人のためになっていることだとアドラーは教えてくれます。 そのために何をしていけばいいのか。ポイントを紹介します。
①「いい人=便利屋」にならない決断をする
行動を変えるには、1日の始めに決断をする
「今日は、いい人をやめよう。理不尽な頼みごとはキッパリ断ろう」
②苦手な人に会う前には予備調査
共通の話題で盛り上げるとお互いに信頼関係が生まれる
予備知識があると話にゆとりができて安心感が高まる
③日記で自分の人間関係パターンを把握する
感情的になってしまった出来事を書く
出来たことを具体的なエピソードを交えて書く
④パートナーとはせめて仲がいいように振る舞う
自分が相手との関係をよくしようと思う
仲のいい言葉遣いは、仲のいいイメージを引き起こし、仲のいい行動を呼び覚ます
⑤自分の価値観は絶対的でないと認める
「嫌っているのは私だけであって、みんなではない」
⑥嫌いな人の知識・経験、スキル、お金、情報等を活用する
相手の肯定できる要素とだけつながる
⑦相手の目で見、相手の耳で聞き、相手の心で感じる習慣をつける
⑧未来志向を持つ
⑨プロセスを重視する
⑩朝晩1分、自分と対話をする
特に、「自分と対話をする」は、アドラー心理学が「なぜダメなのか?」「どこがダメなのか?」という原因ではなく、「どうすれば今よりもっとうまくいくのか?」という目的を考え実行するスタンスなので、自分自身に問いかける方法は非常に効果を発揮します。「本当はどうしたい?」ともう一人の自分に問うことはヤル気につながります。
アドラーは言います。
「誰かが始めなければならない。他の人が協力的ではないとしても、それはあなたには関係がない。私の助言はこうだ。あなたが始めるべきだ。他の人が協力的であるかどうかなど考えることなく。」
以上