残業時間の上限は「月100時間未満」に
厚生労働省は今月7日、通常国会に提出する「働き方改革」関連法案のうち、罰則付きの「残業上限規制」(以下、残業規制)と、非正規の待遇を改善する「同一労働同一賃金」について、中小企業は施行日を1年延期する案を公表しました。中小企業については、残業規制は2020年4月から、同一労働同一賃金は2021年4月から施行予定です。大企業については、残業規制は従来通り2019年4月で据え置きますが、同一労働同一賃金の導入時期を2020年4月に1年遅らせます。
働き方改革実現会議でまとめられた計画や法律案要綱によると、残業規制はそれぞれ以下の見通しです。
■時間外労働の限度と基準
・40 時間を超えて労働可能となる時間外労働の限度を、原則として、「月45 時間、かつ、年 360 時間」とする
・上記の違反には罰則を科す
■特別条項
・特別条項付36協定を締結している場合、上限は「年間720時間」とする
ただし、
①2ヵ月、3ヵ月、4ヵ月、5ヵ月、6ヵ月の平均で、いずれにおいても、休日労働を含んで「80 時間以内」を満たすこと
②単月では、休日労働を含んで 「100 時間未満」を満たすこと
③「月 45 時間、かつ、年 360 時間」を上回る特例の適用は、年半分を上回らないよう、「年 6 回を上限」とする
ちなみに、現状では規制の対象外とされている運輸業、建設業に関しても、改正法施5年後を目途に同様の上限規制が適用される見通しです。
■上限規制後の36協定
上限規制後に協定を結ぶ際、必ず記載する必要のある項目
①36協定の対象労働者の範囲
②対象期間(有効期間とも。期間は1年に限る)
③労働時間を延長、又は休日に労働させる場合はどのようなときか
④対象期間中の1日、1ヵ月、1年、それぞれの期間について延長させることができる労働時間及び休日日数
⑤省令で定める事項
■現行の36協定から変更等が行われる項目
協定の有効期間に関しては、これまで36協定の対象期間は法律上、特に決まりはありませんでした(通常1年間)が、改正後は1年間に限られ、3ヶ月や半年といった1年以外の期間を定めることはできなくなります。
すでに長時間労働が恒常的になっている職場では、企業文化や意識そのものを変化させなければならないかもしれません。まずは勤怠の状況を正しく把握をしていただき、法改正に向けて早めにご準備を進めてください。