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業務外注先へ異動命令、実質転籍と無効訴える

   

東日本旅客鉄道(出向)事件  東京地判平29.10.10

■請求内容

外注先への出向期間が延長されるなど実質転籍として、組合員約60人が出向命令の無効を求めた。

■争点

①本件出向が会社への復帰を前提としない転籍であるにもかかわらず、労働者の個別同意または労働協約に基づかないため無効であるかどうか。

②本件出向が偽装請負に当たり、職安法に違反しており、本件出向も違反となり無効となるか。

③人選や必要性の相当性を欠き、出向対象者に著しい不利益を与えており、権利濫用により無効であるか。

【判決のポイント】

■①出向は、特段の事情がない限り、就業規則または労働協約上の根拠規程や採用時における労働者の同意を要する。

しかし、個別同意までは必要がない。

本事案においても。会社は業務の必要がある場合には出向を命令でき、正当な理由がない場合には拒むことができない。また、出向先における労働時間、休憩時間、賃金等その他処遇においても出向労働者に配慮がされている。

②出向後も会社と労働者との間において、雇用関係は継続されており、在籍出向であると解される。よって、転籍とみることはできない。

③本件出向に関して、出向前と同一水準の賃金に加え、月額2,500円の手当も支給されている。有給休暇のついても、出向前と同一の日数が与えられている。人選や必要性の相当性も認められる。

【SPCの見解】

■出向に関しては労働者の個別的な同意は必要なく、就業規則によって整備されていれば、これを根拠に出向を命ずることができる。

行政は、出向は形態としては労働者供給に該当するとしている。ただし、①関係会社において雇用機会を確保する ②経営指導、技術指導の実施 ③職業能力開発の一環 ④企業グループ内の人事交流 等に該当する場合には、職安法で禁止されている労働者供給には該当しないとしている。

今後、労働人口が減少する一方で、出向の重要性が増してきます。訴訟トラブルや行政指導等を回避していく上でも、正しい手続きや仕組みの作成を行っていくことが賢明である。

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