従業員代表者の選出と就業規則の周知について
2019/01/08
新年あけましておめでとうございます。平成最後の正月を迎え、今年は元号のみならず労働関係法令の改正など変化の多い一年になると思いますが、気を引き締めて頑張ってまいります。本年もよろしくお願いいたします。
さて、本日は就業規則の作成に関してのルールについて確認します。
作成・届出義務
常時10人以上の労働者を使用する使用者は、一定の事項について就業規則を作成し、所轄労働基準監督署に届け出なければなりません。(変更した場合も同様)
※正社員が10人未満であっても、パートタイマーやアルバイト等を含めて10人以上であれば就業規則を作成して届け出なければなりません。
労働者からの意見聴取
使用者は、就業規則の作成または変更について、当該事業場に労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければならない。
使用者は、就業規則の作成または変更の届出を行う場合について、上記の意見を記した書面を添付しなければならない。(労働基準法90条)
労働者の過半数を代表する者とは・・
次のいずれにも該当する者
① 監督又は管理の地位にある者(法41条2号)ではないこと
② 労使協定の締結等を行う者を選出することを明らかにして実施される投票・挙手等の方法による手続きにより選出された者であって、使用者の意向に基づき選出されたものでないこと(労働基準法施行規則6条の2第1項)
「過半数代表者」の要件については、これまで通達等で示されており、「使用者が指名した者を過半数代表者とすること」は不可とされてきましたが、実際は守られていないケースが多いとして、省令にて労働基準法施行規則が改正されたことに伴い、「過半数代表者」の要件について、上記の下線部分について明確になりました。労働者代表の選出に際しては、下記の点に留意してください。
- 従業員代表者の立候補を募る
就業規則の作成(変更)について、管理監督者以外の従業員の中から意見を聴取する必要がある事を説明します。この際、過半数代表になることについて不利益取り扱いはしないことも併せて説明すると立候補を検討してもらいやすくて良いです。
- 従業員代表者の推薦(立候補がない場合)
管理監督者以外の従業員の中から適任と思う者を推薦してもらいます。最多数の推薦があったものに、従業員代表者となってもらえるか意思を確認してください。
- 過半数代表選出の同意書(推薦書)
投票、挙手、従業員の話し合い、同意書の回覧等の選出方法が考えられますが、代表者を決めた際に民主的な方法で行われたことが客観的に確認できるように、書面を作成することをお勧めします。また、従業員代表者として選出する目的について明記してください。(36協定や1年協定等の労使協定の従業員代表を兼ねる場合も必ず明記)
周知義務
使用者は、就業規則を常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、又は備え付けること、書面を交付することその他の厚生労働省令で定める方法によって、労働者に周知させなければならない。(労働基準法106条1項)
厚生労働省令で定める方法とは・・
① 常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、又は備え付ける事こと。
② 書面を労働者に交付すること。
③ 時期テープ、磁気ディスクその他これらに準ずるものに記録し、かつ、各作業場に労働者が当該記録の内容を常時確認できる機器を設置すること。(労働基準法施行規則52条2)
就業規則の周知については、実質的にみて事業場の労働者に対して当該就業規則の内容を知り得る状態に置いていたことと解されていますが、昨今、就業規則や賃金規定の周知が不十分であるとして、無効となる裁判例が目立ちます。
本社にしか規則が置いていなくて、各支店の従業員は見ることが出来なかったり、鍵のかかっている収納棚に置いてあったり、社長室の金庫の中にあったりすると、せっかく作成した就業規則が無効となってしまう恐れがあります。就業規則および労使協定は、上記のいずれかの方法で従業員に周知することが出来るように留意ください。