国民年金保険料の産前産後期間の免除制度について
厚生年金に加入している会社員等の国民年金第2号被保険者については、2014年4月よりすでに施行されている産前産後の保険料免除制度があります。この制度は事業主と従業員の双方の保険料が免除される上に、保険料を納付したとみなされ、将来の年金額にも反映されるというとてもありがたい制度です。2019年4月1日からは、国民年金第1号被保険者の産前産後休業中の女性についても、国民年金保険料の免除制度が始まりました。施工日は平成31年4月1日からです。厚生年金の免除とは若干異なりますので、制度の内容についてお話しさせていただきたいと思います。
1・国民年金保険料の産前産後期間とは
国民年金保険料の産前産後期間とは、出産予定日または出産が属する月の前月から4ヶ月間の期間です。
例えば、出産予定日が2019年3月の場合は、出産予定日の属する月が3月ですから、その前月は2月、その2月から数えて4か月の期間の 2月・3月・4月・5月となるところですが、施工日は4月1日からですので、2月と3月は対象外になります。よって、出産予定日が3月の場合は、4月分と5月分の保険料が免除となります。
2019年2月に出産する対象者の場合は4月分の1か月分のみ保険料が免除となります。1月出産の場合ですと、前月から数えて4か月間は12月・1月・2月・3月となり、制度前となりますので、保険料免除の対象とはなりません。つまり、対象者は早くても2019年2月に出産した方からになります。
また、双子などの多胎妊娠の場合の国民年金保険料産前産後期間は出産予定日または出産が属する月の3ヶ月前から6ヶ月間となり、一人の出産の場合より期間が長くなります。例えば、多胎妊娠の場合の出産予定日が2019年2月の場合は、出産予定日が属する月の3か月前は、11月となり、11月から6か月間は、11月・12月・1月・2月・3月・4月 となり、制度が施行されてからの4月分のみが、免除となります。
2・国民年金保険料の産前産後期間免除の申請方法
(1)申請先 住民登録をしている市役所・区役所・町村役場 の「国民年金の窓口」等で、申請用紙をもらい記入して提出して下さい。申請用紙は2019年4月以降からは『日本年金機構』のホームページからも、印刷できる予定です。
(2)申請書提出可能日 免除の申請書は、出産予定日の6ヶ月前から提出できます。ただし制度自体が2019年4月1日から始まるので、実際に提出ができるようになるのは、2019年4月1日以降となります。したがって、施行前の2019年2月及び3月に出産した場合は、出産後に提出することになります。
(3)申請時に必要なもの 出産前に届出を提出する場合は、母子手帳などが必要になります。なお、出産後に届出を提出する場合には、出産日は市区町村で確認できるため原則必要ありません。ただし、母親(被保険者)と子が別世帯の場合には、出生証明書など出産日や親子関係を明らかにする書類が必要です。
3・年金の受給額への反映 産前産後期間として認められた場合は、将来年金額を計算する際に保険料を納めた期間として扱われます。つまり、国民年金保険料を払ってないけど払ったことになります。
4・産前産後の免除期間中の付加保険料 「付加保険料」とは、毎月の国民年金保険料に付加保険料を上乗せして納めることで、将来受給する年金額を増やすことができる制度のことです。産前産後期間について保険料は免除されますが、付加保険料は納付することができます。
5・国民年金保険料を前納している場合の産前産後期間の保険料 国民年金保険料は、前納することよって割引を受けることができます。前納していて免除申請をした場合、免除期間分が還付されます。
6・国民健康保険料の免除は? 国民年金保険料は免除されますが、国民健康保険料は免除になりません。
少子高齢化問題が切実な問題となっている今、政府の次世代育成支援の一つとしての制度と思われます。従来、国民年金の第2号被保険者に比べますと、制度面で不利な面がありました。その一つが、第2号被保険者には制度がある、産前産後休業期間と育児休業期間の保険料免除制度です。また、第2号被保険者の配偶者の第3号被保険者についてははそもそも保険料はかかりません。2号・3号とのバランスを取るために設けられたと思われます。 今回の国民年金保険料の免除制度においては、会社としては特に手続は必要ありませんが、従業員の家族の方などに対象者がいる場合もありますので、その際は、ぜひアドバイスをしていただければと思います。