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教授に懲戒歴あり65歳定年後の再雇用拒否は

   

「名古屋地判 令和元年7月30日判決」

 

【 事案の概要 】

Xは、Yの設置する大学の教授であったが、懲戒歴があり65歳定年後の再雇用を拒否された。

Xは、Yが再雇用の希望を拒否したことは無効であり雇用契約上の権利を有することの確認および賃金の支払いを求めた。

 

 

【 争点 】

Y大学の規則では定年を65歳とし、定年後の再雇用する場合であっても任期は68歳としている。

ただし、再任用する場合は規定に基づく懲戒処分を受けていないことが条件として明記されており、けん責処分を理由に再雇用の拒否をした。

今回は、Xは平成28年9月に再雇用の希望を提出したが、同年11月にけん責処分を受けた。

【判決のポイント】

【 判決 】

けん責処分は無効で、68歳まで雇用が継続すると期待することが合理的である。

Yの再雇用拒否は客観的な合理的理由を欠き、社会通念上相当であると認められず、定年時の俸給約60万円の給与で68歳までの雇用期間が存すると解される。

 

 

【 判決ポイント 】 

  1. 直近では再雇用を希望したXを除く約40名が全員再雇用されていること。
  2. 1年間のみ再雇用を希望した1人以外が68歳まで継続されて雇用されていること。
  3. けん責処分は懲戒事由該当性を欠き無効であり、欠格事由には該当しない。

 

*処分は大学内のハラスメント問題に関し、元教授が他教授の教え子らに被害の有無を聞いた行為などが「重大な秘密を外部に漏らした」とされたものだったが、判決は「学生を保護する必要性・緊急性があり、正当な理由がある」などとして処分を無効とした。

【SPCの見解】

【 まとめ 】

過去にはほぼ全員が68歳の限度まで再雇用されている実態があり、68歳までの継続雇用が期待されていた。

その中で、懲戒処分を理由としてYは再雇用を拒否したわけだが、その処分については懲戒事由該当性を欠き無効とされた。

結果として、使用者側の再雇用拒否は認められなかった。

高年法では65歳までの雇用確保措置を企業に設けているが、本件のように65歳定年後の再雇用の拒否についても、判断基準を明確かつ合理的な理由を持っておくことが重要となる。

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