解雇に関する留意点
労働契約法/労働基準法では解雇に関して様々な法律や制限がいくつかあり、今回は代表的なものをいくつか紹介致します。
- 労働契約法16条(解雇)
解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。
⇒地位確認請求により裁判等で無効と判断された場合は、その者の復職や解雇されてから復職するまでの賃金の支払い、損害賠償など多くのリスクが生じる可能性があるので留意ください。
- 労働基準法19条(解雇制限)
業務上の負傷または疾病で休業する期間およびその後30日間、産前産後休業の期間およびその後30日は解雇できません。但し、打切補償を支払った場合や、労働基準監督署長の認定を受けて天災事変などやむを得ない事由により事業の継続が困難となった場合は、この限りではありません。通勤災害については適用除外になります。
⇒会社の業務が原因で休業している期間や産前産後を安心して取得する観点からこの期間の解雇についてはできないこととされており、育児休業期間中も取得した者の不利益な取り扱いを禁止しているため、期間中の解雇も厳しく制限されています。
- 労働基準法20条(解雇の予告)
労働者を解雇しようとする場合は、少なくとも30日以上前に予告するか、30日分以上の平均賃金を支払わなければなりません。
平均賃金の何日分か支払った場合には、その日数分だけ予告期間が短縮されます。
天災事変などやむを得ない事由により事業の継続が困難となった場合や、労働者の責めに帰すべき事由によって解雇する場合で、労働基準監督署長の認定の認定を受けた時は解雇予告の適用が除外されます。
⇒30日分支払ったことや30日以上の予告期間を設けたことにより、それが直ちに解雇有効とは結び付かないのでご注意ください。解雇が有効か無効かは、上記の労働契約法16条をもとに判断されます。
2ヶ月以内の期間を定めて使用される者や試の試用期間中の者などは解雇予告が必要ないとされていますが、所定の契約期間を超えて引き続き雇用されるに至った時や、試用期間中の者が14日を超えて引き続き雇用されるに至った時は解雇予告が必要になるためあわせてご注意ください。尚、試用期間の明示が無い場合は適用にならないこともご注意ください。
- 労働基準法22条第2項(解雇理由証明書)
労働者が、解雇の予告がされた日から退職の日までの間において、当該解雇の理由について証明書を請求した場合においては、使用者は、遅滞なくこれを交付しなければならない。但し、解雇の予告がされた日以後に労働者が当該解雇以外の事由により退職した場合においては、使用者は、当該退職の日以後、これを交付することを要しない。
⇒解雇理由証明書は会社が解雇された者に対して交付する正式な書類になりますので、交付する際は内容を十分に検討する必要があります。遅滞なく交付とありますが、記載内容の確認含めて交付まで2週間程度の期間を設けられるよう対応ください。