フランチャイズ契約で団体交渉応諾義務はあるか。
2023/07/26
国・中労委(セブン-イレブン・ジャパン)事件【東京地判 令和4年6月6日】
【事案の概要】
原告(X)はフランチャイズ・チェーン加盟店で組織する労働組合であり、参加人はFCを運営する会社(Y)である。
原告は、平成21年10月~11月にかけて団体交渉を申し入れたが、参加人は「組合員は独立した事業主であり、労使関係にはない。」として申し入れに応じなかった。
原告が救済申立てを行ったところ、岡山県労委は救済命令を発したが、中労委は同命令の取消しを行った。原告は中労委が行った棄却命令の取消しを求めて訴えを提起した。
【判決のポイント】
加盟者は独立した事業主として、その責任と手腕により店舗の運営を行っている。また、加盟者自身の判断で従業員の採否や労働条件等決定し、商品の販売やサービスの提供方法、店舗の立地や契約種別についても独立の事業者としての裁量を有している。
加盟者はフランチャイズ契約により年中無休24間営業など経営の在り方に一定の制約が課されているが、加盟店の事業に関するものであり、加盟者の労務提供が時間的に拘束されているとはいえない。
加盟者は場所的時間的拘束を受けていると評価することはできず、労組法上の労働者に該当しない。
【SPCの見解】
労組法上の労働者については①事業組織への組み入れ、②契約内容の一方的・定型的決定、③報酬の労務対価性を基本的判断要素としつつ、④業務の依頼に応ずべき関係、⑤広い意味での指揮監督下の労務提供、一定の時間的場所的拘束を補充的要素とし、⑥顕著な事業者性を消極的判断要素とするとされています。
本判決もこの要素を総合的に見て判断しています。
あくまで加盟店は労働者の採否やFC契約内容について裁量をもって店舗の運営を行っており、その店舗運営のノウハウに対して一定の対価を支払っているため、判決としても妥当なものかと思います。
混同する労働基準法の労働者については、労組法の労働者とは異なった判断基準(使用従属性など)があるため、違いについてもご注意ください。
■労働基準法の労働者
労働基準法上の労働者は、職業の種類を問わず、事業または事務所に使用され、賃金を支払われる者を言い、具体的な判断基準は以下のとおりになります。
1と2を総合的に勘案することで、具体的に判断します。(判断基準)
1.使用従属性に関する判断基準
①指揮監督下の労働
仕事の依頼、業務従事の指示等に対する諾否の自由の有無・業務遂行上の指揮監督の有無・拘束性の有無・代替性の有無
②報酬の労務対償性
2.労働者性の判断を補強する要素
①事業者性の有無
機械、器具の負担関係・報酬の額
②専属性の程度
③その他