降格・降給する上での留意点
2023/06/26
降格の種類としては、3点あげられます。
1. 職位・役職を引き下げる降格(昇進の反対)
2. 職務遂行能力の資格・等級・グレードを引き下げる降格(昇格の反対)
3. 懲戒処分としての降格
それぞれについて見ていきたいと思います。
1. 降職による場合は、組織内における従業員の具体的配置の決定権は会社に裁量権があるので、根拠規定がなくても実施は可能と考えます。ただ、権利濫用に当たる場合は問題となります。
2. 職能資格制度等における降格の場合は、①就業規則上の根拠と②権利濫用とならないという要件を満たす必要があると考えます。
3. 制裁としての意味を持つ降格の場合は、①就業規則上の根拠と②権利濫用とならないという要件を満たす必要があると考えます。
次に降給にも3点あげられます。
1. 人事権の行使に伴う降給
2. 人事考課に伴う降給
3. 懲戒処分として降給
それぞれについて見ていきたいと思います。
1. 職位・役職の引き下げによる降給であるため、手当の支給要件を満たさないことによるので実施は可能と考えます。ただ、権利濫用に当たる場合は問題となります。
2. 人事考課制度の合理性・公正性を問われると考えます。
3. 降職による手当の減額は就業規則により実施は可能と考えます。
規定の例としては、
1. (昇格・降格、解任)
「 会社は、従業員に対し従業員の能力・適性、業務上の必要に応じて人事権または制度上の取り決めにより昇格(昇進)、降格(降職)または解任を命じることがある。」
2. (降格)
「 以下の事由がある場合、降格を行う。
(1)半年に一度の人事考課において管理職については、D評価を、一般職については、E評価を2回連続で取った場合
(2)滞留年数が6年以上の場合
(3)指導履歴が有る場合
(4)改善機会が付与されている場合
2 降格を行う場合は、評価面談の結果を踏まえ、予め書面にて対象従業員に通知する。
3 懲戒処分を行う場合も、人事上の措置として本条の降格を行うことがある。
3. (降格降職)
「 始末書をとり、職位を解任もしくは引き下げる。」
降格・降給をする際には、本人への説明責任が権利濫用ととられない対策となります。口頭ではなく文面による指導履歴、改善機会の付与がとても大切となります。ご留意ください。