充実した人生のために
2024/01/09
新年あけましておめでとうございます。一年の計は元旦にありと言うように、「今年こそは!」と計画を立てた方も多いのではないでしょうか。
書店のビジネス書コーナーでは年始らしく「自己肯定感」「心理的安全性」「生産性向上」等々のワードが使われた表紙が沢山並んでいました。SDGsの「5:ジェンダー平等を実現しよう」にあるように、「LGBTQ」を始め「男女格差」「女性活躍」などの「ジェンダー」に関するワードが使われた書籍も多くなりました。
そして、採用に力を入れても人材は集まらず、多くの企業では相変わらず人手不足が課題となっていますが、人が集まらないのであれば、業務のやり方を見直して改善を図り、今いる従業員が活き活きと働ける職場環境を整え、人材の流出を防ぐことで事業を継続していく…こんな構図が最近注目の「AI」活用や「業務改善」「健康経営」「ES」などのワードに繋がっています。
最近注目されているワードの一つは「アンコンシャス・バイアス」ではないでしょうか。英語の直訳で「UNCONSCIOUS(無意識の)・BIAS(偏見)」で、“自分自身では気付かないものの捉え方の偏り”のことを意味しています。
例えば、「男の子はブルー、女の子はピンク」の色によるイメージだったり、「男女分けした名簿では男性が先、女性は後」という昔の学校の出席番号のつけ方が無意識に根付いていたり。発する側には悪意がなく、ともすれば自然と日常にある光景が、「アンコンシャス・バイアス」である可能性があるのです。まさに、「ダイバーシティ(多様性)」の先にあるワードと言えるのではないでしょうか。
パワハラをしないように“「馬鹿」などの言葉を使わない”、“カッとなって怒鳴らないようにひと呼吸入れる”のような、ハラスメントの入り口を自身である程度制御できるものとは違い、この「アンコンシャス・バイアス」は非常に難しいものです。意識的な言動と都度の振り返り、何より周りからのフィードバックがなければ、自身では全く気付けないかもしれません。
もう一つの注目ワードは「ウェルビーイング」です。WHO(世界保健機関)憲章の中で使われている言葉ですが、 “健康とは、病気でないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態(well-being)にあること”と訳されています。
厚生労働省でも、“個人の権利や自己実現が保障され、身体的、精神的、社会的に良好な状態にあることを意味する概念”としています。
生産年齢人口が減少する中で、コミュニケーションの必要性が声高に叫ばれていますが、「心理的安全性」が保たれた環境で、誰もが発言しやすい職場であることが必要となり、そうすることで「アンコンシャス・バイアス」やハラスメントが未然に防げ、多様性が促進され、職場の人達があらゆる面で満たされた状態(ウェルビーイング)で楽しく働き「生産性を向上」させ、事業も発展していく。そんな社会の実現の必要性が、これらのワードに表れているのでしょう。
人生100年時代と言われる今、各々が自分らしい人生を送っていくために、働くことの楽しさを今年も一つずつ増やしていきましょう。私は、日々増えていくカタカナ言葉に翻弄されない一年にしたいと思います。本年もどうぞよろしくお願い致します。