資格喪失後の給付【健康保険】
健康保険の給付は、被保険者が資格を喪失すれば、資格喪失後に健康保険の給付を受けられないのが原則です。しかし、一定の条件に該当すれば資格喪失後にも給付が行われます。
資格喪失後に受けられる給付は、傷病手当金・出産手当金の継続給付と、資格喪失後の出産・死亡に関する給付の2種類があります。それぞれの支給要件をまとめました。
○傷病手当金・出産手当金の継続給付
◇支給要件
①被保険者の資格を喪失した日の前日まで「引き続き1年以上」被保険者であったこと
・「引き続き1年以上」とは、適用事業所の被保険者期間が継続していれば良く、必ずしも同じ事業所や、同じ保険者である必要はありません。ただし、日雇特例被保険者、任意継続被保険者、共済組合の組合員である被保険者期間は含まれません。例えば、適用事業所の被保険者期間が計1年あっても、適用事業所の被保険者期間の間に、共済組合の組合員期間があり、適用事業所の被保険者期間が継続して1年ない場合には給付を受けられません。
②被保険者の資格を喪失した際に傷病手当金又は出産手当金の「支給を受けている」こと
・「支給を受けている」とは、報酬が支払われていることにより、傷病手当金が支給されていない状態も含みます。現に給付を受けるか、受給権者でなければなりません。
・資格喪失後に傷病手当金を受給していても、一旦稼働して傷病手当金が不支給となった場合は、その後に労務不能となっても傷病手当金の支給は復活されません。
○資格喪失後の死亡に関する給付
◇支給要件
①被保険者の資格喪失後3か月以内
②傷病手当金・出産手当金の継続給付を受給中
③傷病手当金・出産手当金の継続給付を受けなくなった日後3か月以内
①から③のいずれかの期間中に死亡した場合であることが要件です。死亡の理由や被保険者の期間は問われません。最後の保険者から埋葬料、埋葬に要した費用に相当する金額の支給を受けることができます。
○資格喪失後の出産育児一時金
◇支給要件
①被保険者の資格を喪失した日の前日まで引き続き1年以上被保険者であったこと
②資格喪失後6か月以内に出産したこと
以上の要件を満たすと最後の保険者から、出産育児一時金を受けることができます。※資格喪失後に出産手当金は支給されません。
・仮に、出産予定日が資格喪失後6か月以内であっても、実際の出産日が予定日よりも遅れて、資格喪失後6か月を経過した場合は支給されません。
・資格喪失後の出産育児一時金の受給要件を満たしている人が、現に被扶養者となっている場合は、出産育児一時金又は家族出産育児一時金のどちらかを選択して受給することになります。
健康保険組合に限り、付加給付という法律を上回る独自の給付がある場合もあります。給付について保険者に確認してから選択するのが良いと思います。