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TSMC(台湾積体電路製造)ミュージアムを体験して

   

アジア共生研究会(中小企業家同友会会員が主力の任意組織)のメンバー11名と台北新竹(タイペイシンチク)市にあるTSMCミュージアムを2024年9月10日に体験しました。

TSMCは、台湾の半導体トップ企業であり、2024年1月時点での時価総額は世界15位です。日本のトップ企業のトヨタが39位なのでその巨大さが分かります。

TSMCの創業者張忠謀(モリス・チャン)氏が1987年(今から37年前)に台湾政府にビジネスモデルを自ら説明し、全面的な支援のもと立ち上げました。
そのビジネスモデルがファウンドリ型ビジネスモデルと呼称されるものです。「ファウンドリ」とは、半導体のサプライチェーンの中で「製造」の部分だけを専業で請け負う業態をいいます。現に、TSMCの主力顧客は、アップル(iPhone)、クアルコム(通信)、エヌビディア(画像処理)という半導体チップの設計だけを行い、製造工場を持たない「ファブレス」企業です。これらの企業はTSMCに設計情報を提供して、「仮想自社工場」として製造を委託します。TSMCのサイト経由で製造の進捗をリアルタイムにチェックできます。インテルやサムスン電子のように半導体チップの設計と製造を垂直統合型でおこなう企業では、ファブレス企業とはライバルとなりますが、製造だけをおこなうTSMCは協力工場となります。このモデルを考えたのがモリス・チャン氏であり、TSMCが時価総額でインテルを追い越した要因です。

TSMCの2024年4月~6月の売上高は約3兆2000億、純利益約1兆1800億です。通期ですと、売上高13兆、純利益4兆7000億レベルの会社です。
HPC用のチップが収益の中心となっています。HPCとは、5G通信やAI、クラウドコンピューティング等に使われる高性能コンピュータ(プロセッサ)のことです。
アップルは「N3E」と呼ばれるTSMCの最新技術を用いてiPhoneのプロセッサを量産する計画を立てているようです。

そんな会社のミュージアムを無料で体験できるわけですから全員のテンションが上がります。遅刻厳禁です。10分前にはトイレを済ませてスタンバイ状態です。体験時間は80分です。
ギャラリーは3つに分かれます。ギャラリーⅠのテーマは「至る所にあるイノベーション」です。継続的な集積回路(IC)のイノベーションがチップを普及させ、私たちの生活を莫大な豊かさに導き、想像を超えた技術を推進してきたことを示しています。特に5分間のVR体験が印象的でした。ギャラリーⅡのテーマは「弛(たゆ)まぬ技術革新」です。TSMCとその革新的なビジネスモデルが、世界の半導体産業に持続的なイノベーションをどのように支援をしているかを紹介してくれます。日本の熊本工場も紹介されていました。ギャラリーⅢのテーマは「TSMC創業者モリス・チャン博士」です。TSMC創業者であるモリス・チャン博士の成長経験、学歴、半導体産業での職業経歴、受賞歴や栄誉、そして個人的な興味や生活などが紹介されていました。特に次の言葉が脳裏に焼き付きました。
「 困難な障害を乗り越えて、より明るい未来が輝く 」です。

あっという間の時間でした。創業者モリス・チャン氏は、現在も存命ですが、以前、PHP研究所で紹介されていた松下電機(現パナソニック)の創業者である松下幸之助氏を彷彿(ほうふつ)とさせてくれました。台湾という国が日本にとって違和感のない国であることを再認識できました。貴重な体験に感謝申し上げます。

 

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