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令和7年4月1日 育児・介護休業法改正から介護について

      2024/10/28

日中はまだ半袖でも過ごせる日もありますが、朝晩の冷え込みのせいもあり、体調を崩している方も多く見受けられますが、皆さんはお元気にお過ごしでしょうか。

今回は、来年4月1日に改正される「育児・介護休業法」の中から、介護休業に着目します。

法律名のとおり、育児と介護とが一緒になっているように、両者には同じような制度があります。生産年齢人口の減少対策で、女性の育児休業が当たり前になり、M字カーブと呼ばれていた女性の労働率を年齢階級別で表したグラフも、今では台形になりつつあります。最近では男性の育児休業取得率向上促進から、令和4年10月にスタートした「出生時育児休業」を始めとするあらゆる取組により、男性の育児休業取得率も30%を超えてきました。

そして、ついに来年4月1日からは、介護休業にも焦点が当てられます。“少子高齢化”とは、子供が少なく高齢者が多い社会を表す言葉なので、育児と介護は切り離せないものではないでしょうか。

今回の法改正では、介護離職防止のための個別周知・意向確認、雇用環境整備等の措置が、事業主の義務となります。

先ほどのM字カーブも完全には台形になっていないため、女性の育児休業取得についても、まだ後ろ向きな会社も残っている中、従業員からの介護休業の申出となると、どう対応すべきか苦慮される窓口担当者も多いことでしょう。

以前から言われていましたが、育児休業取得は、対象となるお子さんの成長と共に従業員の復帰も時期も予定しやすいですが、介護休業は、子のみならず、配偶者(事実婚を含む)、父母、配偶者の父母、祖父母、兄弟姉妹及び孫と対象家族の範囲が大きいため、当然に、対象家族の介護が重なる場合も十分に考えられます。

人手不足が頭をよぎる中、従業員が働きやすい環境を整えるためとは言え、一体どうすればいいのか。いつも頑張って働いてくれている従業員だから、介護休業を取らせてあげたいけど、一体いつ復帰してもらえるのか、等々の不安ばかりが募り、つい「介護休業なんて許可できない!」「他に誰か看れる家族がいるでしょう!」と言ってしまい、ケアハラスメントを起こしてしまう可能性を潜めているのが、多くの会社の現状かと想像しています。

育児と介護の制度で大きく違う点、それは、介護休業は対象となる家族の介護を自身で行うための休業ではないということです。対象家族一人につき3回に分けて93日取得できるのが介護休業ですが、施設入所や準備のための休業であることを是非忘れないで下さい。従業員が一人で抱え込んでしまうと、共倒れとなってしまい、復帰どころかそのまま離職を選択してしまうかもしれません。

今回の法改正で、事業主が果たす義務は、誰もが直面するであろう介護についての知識を社内で共有し(理想は40歳の頃)、いざ直面した時に従業員自身が慌てて「離職」を選択することなく、まずは会社と地域包括センターなどでの相談をして「仕事と介護を両立」する選択ができるような環境を整えることです。

制度としてはまだまだこれから浸透していく介護休業ですので、いち早く、雇用環境整備を整え、求職者へのPRができる企業が、人材確保にも繋がるのではないのでしょうか。「子はなくとも親は誰もがいる」と言われるように、いち従業員の立場からの思いは、お互い様の精神を忘れず、自身が介護休業を終えたら、他の従業員の介護休業時には、逆に支えとなる。そんな雇用環境の職場で働きたいです。

◆「育児・介護休業法、次世代育成支援対策推進法改正ポイントのご案内」より抜粋

https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/001259367.pdf

  • 介護に直面した旨の申出をした労働者に対する個別の周知・意向確認の措置(※面談・書面交付等による。詳細は省令。)
  • 介護に直面する前の早い段階(40歳等)での両立支援制度等に関する情報提供
  • 仕事と介護の両立支援制度を利用しやすい雇用環境の整備(※研修、相談窓口設置等のいずれかを選択して措置。詳細は省令。)
  • 要介護状態の対象家族を介護する労働者がテレワークを選択できるよう事業主に努力義務
  • 介護休暇について、引き続き雇用された期間が6か月未満の労働者を労使協定に基づき除外する仕組みを廃止

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