103万円の壁と石破氏チャンス?
2024/11/07
先日の衆議院選挙において自民党公明党の与党が過半数割れしました。国民民主党の28名が加われば過半数となります。しかし、玉木雄一郎代表は「大臣ポストはいらない」、「政策を実現したい」とぶれずに主張しています。その実現したい政策の中に、年103万円の壁を撤廃して年178万円まで非課税枠を拡大するがあります。
愛知県の場合は最低賃金は1,077円ですので、分かりやすくするため1,080円として計算した場合、年103万円を12か月で除した85,833円を1,080円で除すと、月79時間ほどしか働けません。1日8時間で月9.5日間、1日6時間で月13日間、1日4時間で月19.5日間の勤務が年103万円を超えない目安となります。これが年178万円となれば、12か月で除した148,333円を1,080円で除すと、月137時間まで働くことができます。1日8時間で月17日間、1日6時間で月22.5日間の勤務が年178万円を超えない目安となります。今後最低賃金が仮に、1,200円となっても、1日8時間で月15日間、1日6時間で月20.5日間の勤務が年178万円を超えない目安となります。
そのかわり年130万円未満(60歳以上または障がい者を除く健康保険の被扶養者要件)の配偶者に認めれていた年金保険料を納めなくても老後の年金を受け取れる仕組みである第3号被保険者制度(約700万人適用)を見直すことも提案しています。仮に廃止された場合は国民年金(現行月16,980円)に加入することになります。
さっそく、政府が試算しました。国民民主党が訴える「年収の壁」対策を実施して非課税枠を75万円引き上げると、国と地方の合計で年間で7兆6,000億円ほどの減収となるそうです。これに対して、国民民主党は「消費の喚起」で相殺しようとしています。なら、消費税5%の減税なんて無理な話で、現行の10%のままが妥当のような気がします。
それよりも、従業員50人以下の中小零細企業で当該施策が吉とでるか凶とでるかです。それというのも、健康保険、介護保険、厚生年金保険、雇用保険という社会保険への加入が付随される結果、会社側の負担は増加します。仮に現行税法で時給1,080円、1日6時間、月22.5日勤務する愛知県政府管掌保険加入製造業勤務40歳独身の方の手取りを試算すると、月額145,800円、社会保険料21,972円、所得税1,950円、住民税は考慮しないとして、121,878円となります。年103万円の壁を意識する同条件の方の手取り84,240円(時給1,080円×6時間×13日間)と比較すれば、月37,638円、年45万円ほどの増額となります。会社側の負担は月22,700円ほどです。これが給与増額と同時に人数分のしかかってきます。
石破氏にとっては、総理大臣に就任して、すぐにピンチのようにみえますが、私にはそうは見えません。副総理の菅氏や前総理であった岸田氏の助言の結果が過半数割れですから、今度こそ石破カラーを出せるチャンスだと思います。それが国民民主党の玉木雄一郎氏との二人三脚であり、旧安倍派高市氏・萩生田氏・西村氏・世耕氏、旧二階派平沢氏の能力をどう政策上活用していくかではないかと思っています。なんせ5回も総理に挑戦した人物です。粘りは相当にあると思います。運もあると思います。ピンチをチャンスにかえることを期待します。