社内副業制度について
2024/12/20
コロナ禍を経て、テレワーク同様に急速に労働者に浸透した言葉は「副業」ではないでしょうか。お客様からのご相談内容にも、副業に関することも増えました。
- 割増を支払うべきなのは、A社(先契約の当社)なのかB社(後契約の先方)なのか。
- A社の休日にB社で働いて、結局身体を休める日がなさそうだが副業を制限できるのか。等々
割増を支払うべきは、後から契約を結んだB社ですが、ケースによってはA社が支払う場合もあります。
休日は基本的には労働者の自由なので、身体を休められないのではと言う憶測だけでは、副業を制限することはできません。あらかじめ就業規則に、会社が副業を制限する可能性があるケースを規程しておくことも重要です。就業規則は大事な会社のルールブックです。
今回のコラムでは同じ副業でも「社内副業制度」について取り上げます。最近私が気になった記事情報ですが、大手企業では数年前から導入している制度で、就業時間の2割程度を社内の他部署で、半年程度の期間を決めて副業(就業)するという制度です。
岸田内閣当時、リスキリングが話題になり、自社に活かせる新しいスキルの学び直しついては、私もなるほどと思ったものです。リスキリングの一つの手段として、副業もあって良いと思えました。
ただ、先ほどの「割増はどちらの会社が…」を現実で考えた場合、締日も違うB社の勤怠を即座に入手できるとは言えず、複数名が副業している場合は、さらに給与計算が煩雑になることは想像に難くないと思います。給与計算担当者目線だと、副業は拒みたくなります。
しかしこの「社内副業制度」なら、給与面でも、そして情報漏洩の面でも、いろいろクリアできると感じました。就業時間の2割程度を充てるのは、長時間労働を防げる点ではとても考えられています。
私が魅力を感じたのは、同時進行で他部署での業務に携わることで、自社の現状をより早く、深く理解できる点です。
社内のまるで違う仕事の流れを知ることは、点が線になったような閃きがあります。自部署の仕事も見え方も、変わってくることも考えられ、相乗効果も期待できます。
転勤というと、お互い抵抗感があるかもしれませんが、半年間の期限付きなら、受入部署も候補者も、少し肩の力を抜いてチャレンジできるのではないでしょうか。
コミュニケーションの面で考えても、同じ会社に居ても、どんなキャラクターなのかを知らない人は案外多いものです。部門や役職を超えて横断的な編成をする「クロスファンクショナルチーム」と、この「社内副業制度」は似た面があると思います。
当社も少人数ながらも実践していますが、「クロスファンクショナルチーム」は、短期プロジェクトを進める際に、あらゆる部署からメンバーを集めてチームを編成し、柔軟かつ迅速に対応することを重視した手法で、コミュニケーション向上にも成果があると言われているものです。
それに対し「社内副業制度」は、従業員側が自主的に手を挙げて参加する手法なので、意外なところに意外な人財が埋もれていた等の発見もあったり、魅力があると感じています。部署が多い大手企業ならではの制度に感じられますが、少人数企業でも工夫次第で実現できそうです。
年内のコラムは今回が最後となりました。
今年一年、大変お世話になりました。多くの貴重な経験をさせていただき、自身の成長にも繋がる一年となりましたこと、心より感謝いたします。来年は会社としても新たな一歩を踏み出す1年にしたいと考えておりますので、皆様どうぞ来年もよろしくお願い申し上げます。