雇用保険の加入手続きについて
2025/01/20
従業員を雇うとき、退職するときに必要な雇用保険の手続きについて、最近よくあるお問い合わせなどを中心に、押さえておきたいポイントをまとめます。
加入要件
従業員を雇い、その従業員が以下の条件に当てはまる場合、雇用保険の被保険者資格取得の手続が必要となります。
① 1週間の労働時間が20時間以上である。(例:1日5時間、週4日勤務の方は該当します)
② 31日以上の雇用見込みがある。
③ 昼間学生でない。
手続きが遅れた場合
- 必要書類
加入手続きが遅れた場合には、雇い入れ時から現在までの「出勤簿またはタイムカード」と「賃金台帳」が必要となります。また、遅延理由書の提出を求められることがありますので、ご注意ください。 - 保険料の取扱い
雇用保険料は労災保険料と併せて毎年7月に事業主が納付します。労働保険事務組合に委託いただいている事業所は、保険年度(前年の4月から3月)の全従業員の賃金総額を労働保険事務組合ご連絡いただき、保険料を計算し、事業主に代わり納付手続きを行っています。
手続きが遅れて、保険年度をまたいで遡及手続きを行うと、保険料の未納が発生します。この場合、管轄の労働局から照会があり、未納保険料と併せて追徴金が課されます。
遡及期間
2年以上在籍はあったが雇用保険料が給与天引きされていなかった場合は、2年内の期間に限ります。
雇用保険料が天引きされていたのに雇用保険未加入とされていた場合は天引きされていたことが確認できれば2年を超えてさかのぼって加入となります。
加入漏れが発覚し、遡及加入が発生するケース
従業員が退職する際に、従業員から離職票の発行を求められた。
従業員が妊娠し、育児休業給付の申請を求められた。
いずれも、過去に支給した給与から雇用保険料が天引きされていないケースであっても、加入要件に該当する場合はさかのぼって手続きが必要となります。本来従業員が負担すべき雇用保険料も徴収が困難となり、結果的に事業主が負担してしまうことにもつながりますので、手続き漏れにご注意ください。
まとめ
雇用保険は退職した際に次の仕事を見つけるまでの給付や育児休業や介護休業中の給付など、従業員にとって大切な保険です。従業員が保険料負担を嫌がって加入してくれないといった場合でも、加入を免れることはありませんので、雇い入れ時に雇用保険の加入についてご説明をお願いいたします。手続きを忘れてしまって遡及加入手続きを行うと、従業員への給付の遅れや事業主や担当者の負担につながりますので、加入要件を今一度ご確認いただき、適正な加入をよろしくお願いいたします。
なお、令和10年10月1日には雇用保険の適用拡大が予定されており、1週間の労働時間20時間以上の要件は10時間以上に拡大されることとなります。少し先の話ではありますが、アルバイトを多数雇用している事業所については影響が予想されます。事務手続きの委託をご検討の際には、是非弊社にご相談ください。