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年間所定休日日数を増やす場合のメリット・デメリット

      2025/01/27

先日訪問した企業から「年間休日を増やす際の注意点は?」とご相談を頂きました。

 

年間休日には法定休日と法定外休日があります。法定外休日は主に所定休日とも呼ばれます。所定休日は、法律上定められていない休日のことを指します。企業が独自に設定することができる休日なので、企業ごとに所定休日の日数はまったく異なります。

 

また、もう一方の法定休日は労働基準法第35条に定められた休日で、週に1日または4週に4日与えることが義務付けられているものです。労働基準法では変形労働時間制を採用していない場合、労働時間の上限を1日8時間、週40時間と設定しています。そのた

め、1日の所定労働時間を8時間としている場合には、法定休日のみの運用では週の所定労働時間が48時間となり、時間外労働が発生してしまいます。そのため、法定休日と所定休日の両方を設定し、休日を確保する企業が多い傾向にあります。

 

ご相談を頂いた企業は「今の年間休日では求人を出してもインパクトが無く、人が集まらない」というお悩みからでした。法定休日は法律上定められているため、ここでは年間所定休日日数を増やした場合のメリットとデメリットについてみていきます。

 

◆メリット

・従業員満足度の向上:

休日日数が増えることで、従業員はプライベートな時間を充実させることができ、心身のリフレッシュが図れます。これにより、仕事へのモチベーションが向上し、結果として生産性も上がることが期待されます。ワークライフバランスが改善されることで、従業員の離職率が低下し、長期的な人材確保が容易になります。

 

・採用競争力の強化:

年間休日が多い企業は、求職者にとって魅力的に映ります。特に、転職市場での競争が激しい場合、休日日数の多さは大きなアピールポイントとなります。

 

◆デメリット

・コストの増加:

休日日数が増えることで、従業員の労働時間が減少し、その分の業務をカバーするために追加の人員を雇用する必要が生じる場合があります。割増賃金の基礎単価が上がることで、残業時間が増えた場合に割増賃金の支払いが増加し、企業のコスト負担が大きくなる可能性があります。休業事由が発生した際に支払う休業手当も同様です。

 

・業務の調整が必要:

特に繁忙期には、休日日数の増加が業務の進行に影響を及ぼすことがあります。これに対処するためには、業務の効率化や人材配置等の再配分の対応が必要となります。

 

 

年間休日日数を増やす際には、一気に引き上げるのではなく段階的に実施し、従業員の業務負荷や残業時間の増加を逐一確認することが重要です。法定労働時間や割増賃金の基礎単価に関する法的な規定を遵守しつつ、就業規則の見直しも含めて慎重な計画と実施が求められます。

 

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