■定年なのか20時間未満なのか(金澤)
2016/02/21
皆様こんにちは。まだまだ寒い日が続きますね。
昔は風邪をひくと心配してもらえたのに、最近では何故か雑菌扱いされます・・・
周りからの「あっち行け」と言いたげな冷たい視線が決して嫌いではない今日この頃。
さて、今回は雇用保険の離職票の退職理由についてのお話です。
実際にあって判断に迷った事例をご紹介します。
失業給付を受給するためには必ず離職票が必要になり、そこに書かれた離職理由に基づいて、
失業給付の所定給付日数や3ヶ月の給付制限の有無が決定します。
通常、離職理由は事実に基づいた理由を書けばいいのですから、判断に迷うことはありません。
では以下のような場合、皆様ならどちらの離職理由を書きますか?
「60歳で定年となった労働者が、継続雇用制度で嘱託社員として再雇用されたが、嘱託社員としての
労働時間が(自己の希望により)週20時間未満となったので雇用保険を喪失する場合」
<選択肢>
1)退職理由「定年」
2)退職理由「週の労働時間が20時間未満となったため(本人の希望による)」
ここは重要な論点です。
何故なら、どちらを選ぶかによって給付制限の有無が異なるためです。
1の「定年」ならば、3ヶ月の給付制限がかかりません。
(所定給付日数は自己都合の場合と同じですが)
2の「週の労働時間が20時間未満となったため」の場合は、
「週20時間未満になった理由」により給付制限の有無が決まります。
・労働者の希望で20時間未満にした場合・・・・・給付制限がかかります。(今回の例はコチラ)
・会社の都合で20時間未満になった場合・・・・・給付制限はかかりません。
どちらの見方をしたとしても、決しておかしくはありません。
確かに一度定年を迎えていますし、退職金の支払いもされました。
しかし、雇用は1日の空白もなく継続していることを考えると、
週20時間未満の方が雇用保険喪失の主な理由のような気もします。
(もし新しい契約も20時間以上ならば雇用保険を喪失することはなかった訳ですから)
ここで、複数のハローワークと複数の労働局に片っ端から電話をかけて質問をしてみました。
すると、回答者によって結果がまちまちだったのです。
「定年」という方もいれば、「20時間未満」という方もいらっしゃいました。
仕方がないので厚生労働省に判断を仰ぎました。
数日後、帰ってきた返答は・・・退職理由「定年」でよい、とのことでした。
考え方としては「例えば有期雇用の方が契約期間満了し、更新の際に新しい契約が20時間未満となったため
雇用保険を喪失させる場合は、期間満了として処理をするので、定年の場合も同様に考えます」とのこと。
しかし、これはどこかの通達などに明記されている訳ではないので、
現場では処理担当者の裁量で結果が異なっている場合もあるでしょうね。
ちなみに、継続雇用されているなら失業給付もらえないのでは?と思われがちですが、
退職した会社で引き続き働いていたとしても、週の労働時間が20時間未満であれば雇用保険上は「退職」として扱われます。
よって、ちゃんと求職活動をしていれば失業給付の受給対象者になります。
但し働いていることにより賃金を得ていますから、その日の勤務時間が4時間未満なら基本手当の減額となり
4時間以上ならば失業認定なしで繰越しとなりますが。
給付制限の有無はご本人にとっては重要なところなので、取扱いは統一して欲しいものですね。
とても勉強になりました。