■障害者雇用促進法の一部改正
2016/02/21
新年明けましておめでとうございます。そろそろお正月休みの余韻から抜け出して、今年も一年良い年になるよう頑張っていきましょう!
昨年の6月19日に、“障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律”が公布されました。
◆改正法の内容
1.障害者に対する差別の禁止、合理的配慮の提供義務
2.苦情処理・紛争解決援助
施行日:平成28年4月1日
3.法定雇用率の算定基礎の見直し(算定基礎に精神障害者を加える)
施行日:平成30年4月1日
4.障害者の範囲の明確化
施行日:公布日
◆障害者 用語の意義
“障害者”とは、身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害があるため、長期にわたり、職業生活に相当の制限を受け、又は職業生活を営むことが著しく困難な者をいうものとする。
◆範囲
すべての事業主(障害者雇用納付金制度については従業員数による範囲の限定あり)
◆障害者に対する差別の具体例
・身体障害、知的障害、精神障害、車いすの利用、人工呼吸器の使用などを理由として採用を拒否すること
・障害者を理由として賃金を引き下げること、低い賃金を設定すること、昇給をさせないこと
・研修、現場実習をうけさせないこと
・食堂や休憩室の利用を認めないこと
◆合理的配慮を具体例
・募集採用時に試験問題用紙の点訳や音訳、回答方法の工夫等
・車いす利用者に配慮した作業台の高さの調整等
◆法定雇用率の算定基礎の見直し
現行、精神障害者は障害者雇用率の算定基礎の対象に含めずに法定雇用率を算出していました。法改正において算定基礎に精神障害者を加えることとなりました。今後精神障害者の雇用数や新規求職者がますます増加するとなると、具体的な計算式は割愛しますが、分子に精神障害者が加わるため、改正後は法定雇用率が急激に引き上がる可能性もあります。そのため、改正後5年間は計算とおりに引き上げないこともできる猶予期間も設けてあります。算定基礎の見直しが施行される平成30年4月とその5年後の平成35年4月以降における法定雇用率の動向には注視しましょう。
◆障害者雇用納付金制度の対象事業主
障害者雇用納付金(現在は不足1人当たり月5万円を徴収)は平成27年4月から100人超の事業主が対象になることが既に決まっています。
1.平成22年7月から(制度適用済み)
従業員200人超300人以下の事業主
2.平成27年4月から
従業員100人超200人以下の事業主
なお、新たに対象となった事業主に係る障害者雇用納付金の額は制度の適用から5年間は経過措置として不足1人につき1月当たり4万円に減額されます。
採用時の合否や評価、賃金の決定等はその方の業務に対する熱意・姿勢、受け持つ業務の内容やその責任、貢献度によって決められるべきであり、障害を理由にした差別的な取扱いや発言はトラブルの元ですのでそれぞれの担当部門において充分注意してください。