■揉めない解雇をめざして(金澤)
2016/02/21
最近、急に暑くなってきましたね。
「昔はもう少し春が長かったのに、最近は冬から急に夏になるよね・・・」
「春服買わなくて正解だったね」
と、イマイチ風情に欠ける会話をしながら過ごしております。
さて本日は、解雇予告についてのお話です。
労働基準法20条で「使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては
少なくとも30日前にその予告をしなければならない」と規定されています。
解雇予告については法律上「書面で」とはされていませんので、口頭での解雇予告も有効です。
但し、解雇予告が30日前までにされなかった場合は、その日数分の解雇予告手当を
支払わなければならないとされていますので、「いつ解雇予告をしたのか?」という
点はとても重要であり、後で「言った、言わない論争」にならないためにも、解雇予告は
書面で行うことをおすすめします。
また、解雇予告手当についてもよくご質問をいただきますが、
「解雇予告手当を支払えば解雇は有効」というお考えは誤りです。
解雇予告手当を支払うことは、あくまで解雇手続の一環であり、解雇の有効性とは別問題です。
解雇に「客観的に合理的な理由」や「社会通念上の相当性」がなければ、解雇権の濫用として無効となります(労働契約法16条)。
解雇予告手当を支払ったからという理由で、解雇が正当化されたことにはなりません。
解雇予告手当の支払時期についてのご質問も多いですが、解雇予告手当は解雇申渡しと同時に支払うべきものとされています。(昭23.3.17 基発464号)
解雇予告手当の支払いなしになされた解雇通知は無効ですが、「解雇通知から30日の期間を経過したとき」「通知後に解雇予告手当の支払いをしたとき」のいずれか早いときから解雇の効力を生じます。
では、対象者がその「解雇予告」に納得せず、解雇予告手当を受け取らなかった場合や
失踪などにより消息不明で渡すことが出来ない場合はどうすればよいのでしょうか?
その場合は、現実に労働者が「受け取りうる」状態に置かれていれば、支払ったものとみなされます。
「受け取りうる」状態とは、例えば以下のような日を指します。
例1)郵送等で発送し、労働者の生活の本拠地に到達した日(受領したか否かは問わない)。
例2)労働者に解雇予告手当支払日を指定して通知したが本人が不参だった場合は、その指定日。
また、支払日を指定しないで本人不参のときには、労働者の通常出頭し得る日。
※解雇の申し渡しと同時に解雇予告手当を提供したが本人が受領を拒んだ場合は、
法務局に供託することで支払ったものとみなすこともできます。
何かと揉めることの多い「解雇」ですが、解雇予告から解雇日までの手続きを事前にしっかりとシミュレーションすることで
紛争リスクは減らすことができます。お困りの際は、是非ご相談下さい。