■退職の種類を明確に!
2016/02/21
会社を退職する、とても大切な決断であり次のステップのためにも事由が問われます。
会社側は、履歴書に記載されている職歴を確認すると同時に「なぜ辞めたのか?」に強い関心を持ちます。自社の就業規則では、その退職の種類が明確になっていますか?
今回は、退職の重要性を踏まえて整理をしていきたいと思います。
退職を大きく分類すれば、「会社都合退職」と「自己都合退職」そして会社都合でも自己都合でもない「自然退職=自動退職=身分の喪失」となります。
さらに詳細に分類してみると次のようになります。
会社都合退職 普通解雇
懲戒解雇
自己都合退職 依願退職
勧奨退職 諭旨退職
自然(自動)退職=身分喪失 定年・死亡・役員就任 期間満了・休職期間満了
この中で、質問をさせていただきます。
①退職と解雇の違いは?
②依願退職のルールは?
③勧奨退職と諭旨退職の違いは?
④自然退職とは?
⑤普通解雇と懲戒解雇の違いは?
以下にそれぞれの回答をしていきます。
①退職と解雇の違いは?
退職は必ず「退職届」を取ってください。口頭はトラブルの元です。解雇は一方的な通告です。よって、退職届を強要することはできません。
②依願退職のルールは?
民法627条(期間の定めのない雇用の解約の申入れ)
「当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から2週間を経過することによって終了する。※労働基準法の制定後、会社側の予告期間は30日まで延長。
2 期間によって報酬を定めた場合には、解約の申入れは、次期以降についてすることができる。ただし、その解約の申入れは、当期の前半にしなければならない。
3 6か月以上の期間によって報酬を定めた場合には、前項の解約の申入れは、3か月前にしなければならない。」
よって、時間給・日給・欠勤控除する月給日給については、14日前であり、欠勤控除しない完全月給が原則1か月前、半俸や年俸は3か月前ということになります。
③勧奨退職と諭旨退職の違いは?
双方とも会社からの働きかけによる任意退職であり、退職届を提出する点では同じです。私が考える位置づけとしては、諭旨退職は、懲戒に該当する者が適用となり、拒否した場合は、懲戒解雇となります。勧奨退職は、普通解雇に該当する者が適用となり、拒否した場合は、文字通り普通解雇となります。
④自然退職とは?
会社でも自己の責でもない身分の喪失であり、就業規則に則るルールの適用です。
⑤普通解雇と懲戒解雇の違いは?
懲戒に該当し、退職金の支払いを全額またはそのほとんどを棒に振る死刑に等しい処遇です。普通解雇は、懲戒に該当しないかまたは該当したとしても懲戒解雇までには至らない処遇で、退職金の支給も全額される場合が一般的です。
裁判上の争いになったときも、懲戒解雇は労働者の責めに帰すべき相当な理由がない限り会社側が負けるケースがあり、決断上の重みもかなり違います。
こうしてみてきてわかるのは、解雇は退職における最後の決断であり、勧奨退職なり、諭旨退職で円満に退職してもらうことが一番の強い組織をつくる前提となります。とにかく、解雇にはパワーを要します。会社の存続を危うくするほどの者の排除であれば致し方ないですが、簡単には口に出すべき言葉ではありません。このことを管理職には周知徹底しておかれることを強く要望します。