■割増賃金の算定基礎について(神谷)
2016/03/23
労働紛争の上位にも位置してくる未払い賃金の有無。
決して意図的なものばかりではありません。
労働基準法第37条にて割増賃金の支払いについて、労働基準法施行規則21条にて割増賃金の算定基礎単価から除外することができる手当について規定されています。
これらは例示ではなく、「限定列挙」されているものであり、これらに該当しない賃金は全て算定基礎に含めて算定しなければなりません。上記手当が支払われていた場合であっても、実際にこれらの手当を除外するにあたっては、「単に名称によるものではなく、その実質によって取り扱うべきもの(S22.9.13 基発第17号)」とされています。
この部分についての解釈が時間外労働に係る未払い賃金が生じる要素となっているとも考えられます。
賃金設計の際には、その点を踏まえご検討ください。
<参考1.労働基準法第37条>
第37条 使用者が、第33条又は前条第1項の規定により労働時間を延長し、又は休日に労働させた場合においては、その時間又はその日の労働については、通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の2割5分以上5割以下の範囲内でそれぞれ政令で定める率以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。ただし、当該延長して労働させた時間が1箇月について60時間を超えた場合においては、その超えた時間の労働については、通常の労働時間の賃金の計算額の5割以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。
2 前項の政令は、労働者の福祉、時間外又は休日の労働の動向その他の事情を考慮して定めるものとする。
3 使用者が、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、第1項ただし書の規定により割増賃金を支払うべき労働者に対して、当該割増賃金の支払に代えて、通常の労働時間の賃金が支払われる休暇(第39条の規定による有給休暇を除く。)を厚生労働省令で定めるところにより与えることを定めた場合において、当該労働者が当該休暇を取得したときは、当該労働者の同項ただし書に規定する時間を超えた時間の労働のうち当該取得した休暇に対応するものとして厚生労働省令で定める時間の労働については、同項ただし書の規定による割増賃金を支払うことを要しない。
4 使用者が、午後10時から午前5時まで(厚生労働大臣が必要であると認める場合においては、その定める地域又は期間については午後11時から午前6時まで)の間において労働させた場合においては、その時間の労働については、通常の労働時間の賃金の計算額の2割5分以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。
5 第1項及び前項の割増賃金の基礎となる賃金には、家族手当、通勤手当その他厚生労働省令で定める賃金は算入しない。
<参考2.(労働基準法施行規則21条)>
第21条 法第37条第5項の規定によつて、家族手当及び通勤手当のほか、次に掲げる賃金は、同条第1項及び第4項の割増賃金の基礎となる賃金には算入しない。
1 別居手当
2 子女教育手当
3 住宅手当
4 臨時に支払われた賃金
5 1箇月を超える期間ごとに支払われる賃金