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■障害者雇用促進法の改正見込み

      2016/02/21

こんにちは、本日は法改正のお話です。平成25年4月19日に「障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律案」が国会に提出されました。平成28年の4月1日以降の施行となる見込みです。
大まかな内容は以下のとおりです。

【障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律案の概要】

1.雇用の分野における障害者に対する差別の禁止及び障害者が職場で働くに当たっての支障を改善するための措置(合理的配慮の提供義務)を定めるとともに、障害者の雇用に関する状況に鑑み、精神障害者を法定雇用率の算定基礎に加える等の措置を講ずる。
(1)障害者に対する差別の禁止:雇用の分野における障害を理由とする差別的取扱いを禁止する。
(2)合理的配慮の提供義務事業主に、障害者が職場で働くに当たっての支障を改善するための措置を講ずることを義務付ける。ただし、当該措置が事業主に対して過重な負担を及ぼすこととなる場合を除く。
(3)苦情処理・紛争解決援助
・ 事業主に対して、(1)(2)に係るその雇用する障害者からの苦情を自主的に解決することを努力義務化。
・(1)(2)に係る紛争について、個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律の特例(紛争調整委員会による調停や都道府県労働局長による勧告等)を整備。

2.法定雇用率の算定基礎の見直し
法定雇用率の算定基礎に精神障害者を加える。ただし、施行(H30)後5年間に限り、精神障害者を法定雇用率の算定基礎に加えることに伴う法定雇用率の引上げ分について、本来の計算式で算定した率よりも低くすることを可能とする激変緩和措置を設けている。

3.その他
障害者の範囲の明確化その他の所要の措置を講ずる。

施行期日:平成28年4月1日(ただし、2は平成30年4月1日、 3(障害者の範囲の明確化に限る。)は公布日)

実務に関わる内容として1番大きなポイントは2の法定雇用率の算定基礎の見直しでしょう。現状、事業主に対して、その雇用する労働者に占める身体障害者・知的障害者の割合が一定率(法定雇用率2%)以上になるよう義務づけています。50人以上の会社であれば1人を雇い入れる計算になります。今まで精神障害者については雇用義務はありませんでした(雇っている場合には身体・知的障害者を雇い入れたものとみなして実雇用率算定の対象とする特例あり)が、今後は精神障害者についても障害者雇用率を算定する分子に含めることとなります。これにより、新たな具体的算定方法が加わるかは現状定かではありません。現在の障害者雇用率を達成できている企業は2割程度と言われています。そのため、法律要綱ではH30年の施行後、5年間について激変緩和措置も設けてあります。

この法改正について社会にとって決して悪いことではないのでしょう。しかし、雇用率を達成できなかった場合に支払う障害者雇用納付金の義務もない会社がどうしてもと頼まれて、知的障害ももつ方を雇い入れた人情あふれる会社の社長さんが、その後手のひらを返すように親族から権利を主張されて相談を受けたこともありました。労働時間においてもその方の身の回りのお世話をしてあげていた様子でした。どうしても、障害者雇用のお話になるとこうして苦労された会社様のお話を思い出してしまいます。もちろん障害者である方の中には優秀で十分な能力を備えているにも関わらず、理不尽にそれを発揮する場所に恵まれない方もいることでしょう。やはり社会にも会社にも十分な理解と制度、設備にかかる費用も含め整備されていく必要があるのでしょうね。

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