障害者雇用について
2016/03/23
3月に入り、沈丁花のいい香りが漂いはじめ、徐々に春を感じられる季節になりましたね。
今回は、平成28年4月1日に施行される「改正障害者雇用促進法」からいろいろと考えてみました。厚生労働省が出しているパンフレットには次の3つのポイントが挙げられています。
1.雇用の分野での障害者差別を禁止
障害者であることを理由とした障害のない人との不当な差別的取扱いが禁止されます。
2.雇用の分野での合理的配慮の提供義務
障害者に対する合理的配慮の提供が義務となります。
3.相談体制の整備、苦情処理、紛争解決の援助
障害者からの相談に対応する体制の整備が義務となります。
障害者からの苦情を自主的に解決することが努力義務となります。
私は前職で障害者の方と一緒に働いていたため、障害者雇用については現場作業者として考えさせられたことがありました。部署の作業展開を任されていたこともあり、知的障害のある彼女が入社されるにあたり、どのように接すべきかと言うことから自分なりに考えました。
障害者であることに加え、未成年でもあったため、ご両親に連絡を取るべきかとも考えました。しかしながら、前もっていろいろ悩んだところで何も分からず、とにかく本人に会ってからではないと何も始まらないということで、入社当日は不安の方が強かったです。
初日の彼女は、始業の30分以上も前に会社に到着し、可愛らしい笑顔で挨拶をしてくれました。自分が気負い過ぎていたなと感じたものです。彼女から聞くご両親の話から、私から連絡を取るべきではないとも思えました。これまでも、家庭内では彼女自身の自立を促す教育をされていると感じたからです。
私自身も娘が二人居るため、途中からは、もう一人娘が増えた感覚で接していました。とにかく素直な子で、私にとっては本当に可愛い存在でした。彼女が間違った作業をする時は、私の伝え方に問題があったなと勉強にもなりました。なぜ駄目なのか、どうしてそうすべきなのかの理由と一緒に伝えると、きちんと理解をしてくれました。
それでも、最初の数ヶ月は、うまく伝えられない自分と、伝えているつもりの自分とのもどかしさもあり、正直ギブアップしてしまいそうな頃もあったのも事実です。雇用を決めたのは総務、そして部署には特に何の情報提供もない状態で、言ってみれば丸投げされた感じがあり、自分の不甲斐なさを棚に上げ、うまくいかないのは、何も助けてくれない会社のせいにしていました。
でも、彼女は本当に一生懸命で、遅刻や早退はもちろん休むこともなく頑張ってくれました。その頑張りを見ていると、自分もきちんと彼女のためにできることを考えるべきで、負けていられないと感じたものです。そんな彼女もこの1月に成人式を終え、もうすぐ二十歳の誕生日を迎えます。大人として、より一層頑張って欲しいと願っています。
障害者雇用にあたり、会社の体制はいろいろだとは思いますが、障害者の方への配慮だけではなく、配属先の障害のない方への受入体制の教育も忘れずに整えていただきたいものです。私の場合、部署の方針として他部署には彼女が障害者であることを話さなかったために、彼女の仕事ぶりについて苦情が出たことがあります。その時には、実は・・・と伝えることで理解をしてもらいました。
しかし、障害者であることが分かったことでその後の接し方が変わってしまい、障害者への仕事が制限されてしまうのはどうなのでしょうか。お互い手助けは必要だとしても、過剰な手助けは不要です。時間がかかっても、できるまでやってもらう、間違っていれば正しくできるまで根気よく何度でもやってもらう、くらいの余裕を持って、障害者の方々が本当の意味で自立できる職場環境作りが必要だと思います。
何でもそうであるように、コミュニケーションを取ることは大切です。その職場で働く全員が、一緒に悩んで出した策は、きっといいものになると思いませんか。