募集段階の固定残業代の明示
2015年9月18日の若者雇用促進法(青少年の雇用の促進等に関する法律)の公布を受け、厚生労働省は同年9月30日に「青少年の雇用機会の確保及び職場への定着に関して事業主、職業紹介事業者等その他の関係者が適切に対処するための指針」を告示しています。(平成27年厚生労働省告示第406号)
2015年10月1日より適用されることとなったこの新たな指針では、下記のとおり、固定残業代に係る労働時間数および金額や、固定残業代を除外した基本給の額などを募集の段階で明示することを事業主に対し求めています。これが職業安定所に新卒求人を提出するときには必ず記載を求められてしまいます。
第二 事業主等が青少年の募集及び採用に当たって講ずべき措置
一 労働関係法令等の遵守
(一)募集に当たって遵守すべき事項
へ 青少年が応募する可能性のある募集又は求人について、一定時間分の時間外労働、休日労働及び深夜労働に対する割増賃金を定額で支払うこととする労働契約を締結する仕組みを採用する場合は、名称のいかんにかかわらず、一定時間分の時間外労働、休日労働及び深夜労働に対して定額で支払われる割増賃金(以下このヘにおいて「固定残業代」という。)に係る計算方法(固定残業代の算定の基礎として設定する労働時間数(以下このヘにおいて「固定残業時間」という。)及び金額を明らかにするものに限る。)、固定残業代を除外した基本給の額、固定残業時間を超える時間外労働、休日労働及び深夜労働分についての割増賃金を追加で支払うこと等を明示すること。
この告示には続いて
(二) 採用内定・労働契約締結に当たって遵守すべき事項等
ハ 労働契約の締結に当たっては、労働基準法(昭和22年法律第49号)第15条第1項の規定により、事業主は、青少年に対して、労働基準法施行規則(昭和22年厚生労働省令第23号)第5条第1項各号に掲げる事項として次に掲げる事項を明示しなければならないこと。・・・・
と続きます。よって、固定時間外手当の計算根拠やそれを超えた部分を支払う旨の明記は“青少年”の“採用募集時”であり、現行の雇用契約書への記載を現段階で求められている訳ではありません。しかし固定時間外手当を採用する場合はその根拠、算定時間の説明が必要ですし、労働者との認識の差異を解消するためにも、可能であれば契約書への記載をすることがより良いことは言うまでもありません。