1年単位の変形労働時間制について
秋風が心地よい時節となりました。皆様いかがおすごしでしょうか。「食欲の秋」食べ物もおいしく感じる最高な季節ですが、食べ過ぎは禁物です。「スポーツの秋」適度な運動で、体も心もリフレッシュしたいものです。
さて、今日は変形労働時間制について述べてみます。
労働時間規制は「休憩を除いて1週間に40時間、1日について8時間」を原則としていますが、サービス業など様々な第三次産業が増大するなか、事業の性質の変化やそれにともなう労働の変化に対応して、労働時間の枠組みを柔軟化し、週休2日制や年間休日の増加を容易にすることにより、時間短縮を促進するため、例外として、これらの期間を超えた期間において、週平均労働時間が労働時間規制の原則に収まっていれば、労働基準法違反を問わない制度を定めています。
政府統計の平成27年就労条件総合調査によると、変形労働時間制を採用している企業割は52.8%となっています。変形労働時間制の種類別(複数回答)にみると、「1年単位の変形労働時間制」が30.6%、「1か月単位の変形労働時間制」が20.3%、「フレックスタイム制」が4.3%となっています。
数字にも表れていますが、1年単位の変形労働時間制を採用しているお取引様が多いので、1年単位の変形労働時間の特徴や注意点についてまとめてみます。
概要
1年単位の変形労働時間制は、季節などによって業務の繁閑に差のある事業において、業務の繁閑に合わせて労働時間を設定することによって時間外労働を少なくし、全体として労働時間を短縮することを目的とした制度です。
要件
労使協定で以下の事項を締結すること
- 対象労働者の範囲
- 対象期間(その期間を平均し1週間あたりの労働時間が40時間を超えない範囲において労働させる期間をいい、1カ月を超え1年以内の期間に限る。)
- 特定期間(対象期間中の特に業務が繁忙な期間をいう。)
- 対象期間における労働日及びその労働日ごとの労働時間
- その他の事項
注意点は、その協定を所轄労働基準監督署長へ届け出ることが必要ですので、就業規則で定めるといった要件ではないということです。(1か月単位の変形労働時間、フレックタイム制との違い。)
対象期間における労働日数の限度
- 1年あたり280日(対象期間が3カ月を超えるとき)
1年変形で労働させる代わりに年間休日を最低85日確保することとなります。
対象期間における1日、1週間の労働時間の限度
- 対象期間の長短に関係なく、1日10時間、1週間52時間となる。
効果
法定労働時間の規定にかかわらず、労使協定の定めにより、特定された週において1週間の法定労働時間を、又は特定された日において1日の法定労働時間を超えて労働させることができます。
1年変形を採用するにあたっては、育児等を行うものに対する配慮義務がある事、妊産婦(産前6週間(多胎妊娠は14週)、産後8週間))及び18歳未満には原則適用されないという事をご注意ください。
季節の変わり目は気温の変化が激しく、体調を崩しがちです。くれぐれもご自愛ください。