ストレスチェックの実施を経て
「常時50 人以上(週1日出勤等のパートやアルバイトも常態雇用であれば50人にカウント、ただし実施対象は労働時間が通常の3/4以上の労働者)を使用する事業場」に実施義務が課されていましたストレスチェックが昨年の11月を期限として初年度が終了しました。その後、事後処理を行い、監督署への報告も完了する時期かと存じます。最近は監督署からも報告の督促が来ているようです。
ストレスチェックにおいて高ストレス者の条件を満たした受検者には、面接指導の勧奨を行い、希望者については面接を担当する医師が面接指導にあたります。そして、事業者は面接指導を行った医師などの意見を聞き、必要に応じて「就業上の配慮」や「職場環境の改善」に取り組むこととなっています。
○報告について
提出用紙は、厚生労働省の「心理的な負担の程度を把握するための検査結果等報告書」というものがありますので、これで報告することになります。
記載する内容としては、
・検査実施年月
・在籍労働者数
・検査を実施した者
・検査を受けた労働者数
・面接指導を実施した医師
・面接指導を受けた労働者数
・集団ごとの分析の実施の有無
等を記入して、産業医の記名押印が必要になっています。
では今回行ったストレスチェックをどのように活用していくべきなのでしょうか。会社様がチェックを進められた中で私が感じたことを書きたいと思います。
今回のチェックは労働者本人の「一次予防」を目的とされていました。そのため、受験が義務付けられておらず、全員のストレス度合を全て知るには不十分な場合があります。よって、義務ではなくても実施を推奨し、高ストレス者を会社が把握できなかったという潜在リスクは解消していくべきです。
また、集団分析については、現時点では努力義務であり法的な拘束力はありません。しかしながら、集団分析を活用することによって、単に職場ストレスの実態把握のみならず、事業所内の職業性ストレス要因の分析や職場環境不備の原因究明とその解決に役立ちます。何らかを原因として高ストレスが発生しやすい部署を会社が知るのにはこの集団分析が1番有効です。義務ではなくてもこれを行うことで、過重労働対策やハラスメント対策を行ううえでも生きた情報となるため会社の職場環境を整えるのに良いきっかけとなるでしょう。
今回のことで今までより実施者である産業医等と打合せ等をしていただく機会が増えたのではないでしょうか。産業医の意見を聴くことで、今後行うべき対策や会社が留意すべき点も少なからず見えてきたことかと存じます。安全衛生委員会等において産業医と連携を強化しながら、管理監督者が労働者に対するケア方法、産業保険スタッフ等によるケア方法など実際の労働者ケアの方法を構築していけます。
ストレスチェックは特定の人物しか書類を取り扱うことができない規定もありました。そのため、一次予防の気付きを労働者に与え、本人から面談の申込みがなかったために監督者へ報告するだけでは会社が有効性を実感できないケースも考えられます。会社にとって有益な効果や情報が得られるような実施の方法をされることをお勧めします。