理性心と霊性心
引き続き、中村天風氏の言葉を取り上げます。
精神に付随する二つの心に「理性心」と「霊性心」があります。
「理性心」とは、人間だけに与えられた心で、物のよしあし、間違い、正しいを見分ける心。むずかしくいうと、ものの善悪、是非、邪正、曲直というものを分別してくれる心。
けれども、この理性心には、本能心を統御したり、いわんや、整理する力はない。
「霊性心」は、心が純一無雑のときにでてくる。
霊性心によって、ああ、人間というものは幸福に生きて、丈夫で生きるほうがやさしいわ、ということを発見する。体悪くして、不幸福で生きるほうが難しいわということをきって発見する。それは第一に、この世の中のややこしさを感じなくなる。
自分のため、人の世のために、そうした立派な尊さをもつ心を、一日のうちできるだけ長い時間をもちこたえていける人間になる。
無念無想の境涯こそ、霊性意識の中から本当に強い力がでてくる。