無期転換Q&A
朝晩寒くなってきましたがいかがお過ごしでしょうか。体調を崩しやすい季節ですので、風邪やインフルエンザ対策を万全になさって下さい。
今日は、無期労働契約への転換についてルールをチェックしたいと思います。よくお問い合わせいただく内容をピックアップしてQ&Aでご紹介致しますので確認いただければ幸いです。
Q 有期社員から『有期労働契約のままでいたいので無期に転換したくない』と申し出があったが、認めるべきでしょうか。
A 無期転換ルールは、「労働者が無期労働契約の申込みをすれば、使用者はこれを承諾したものとみなす。」 という制度ですから、労働者が申込みをしなければ無期転換することはありません。そして、無期転換の申込みは労働者の権利であり、申込みをするかどうかは労働者の自由です。いつまで働く希望があるか、どのような働き方を考えているのか、義務ではありませんが、契約更新時にはしっかりと制度について説明されることをおすすめ致します。
Q 今後、無期転換ルールが発生しないようにするため、継続雇用年数や契約更新回数について上限の定めを設けてもよいのでしょうか。
A 有期労働契約において、契約年数の上限を定めることは可能です。しかし、特段の合理的理由がないのに、無期転換ルールを避けるためだけに上限規定を設けたと認められる場合は、無期転換ルールの趣旨を阻害し不適切であるとして、その効力が無効と判断される可能性があり、注意が必要です。特に理由が無く、すでに入社している有期社員に、次回の契約更新から更新回数の上限を定めたりする場合には、無効と判断されるリスクが高くなります。
Q 無期労働契約へ転換されるのは申込みの直後からですか。
A 実際に転換されるのは申し込み時の有期契約が終わった後から
例:2013年4月1日から1年更新し、5年目を迎える2018年4月1日以降2019年3月31日までに無期転換の申し込みをした場合、2019年4月1日から無期に転換します。
Q パート社員および有期社員から無期転換の申し込みを受けた場合に、無期転換に伴ってフルタイム勤務や職種・勤務地の変更をすることは可能でしょうか。
A 無期転換ルールを定めた労働契約法第18条には、無期転換後の労働条件について次の とおり規定されています。
- 契約期間以外の労働条件は、現在締結している有期労働契約の労働条件と同一とする。
- ただし、当該労働条件について別段の定めがある部分を除く。
無期転換後の労働条件は、有期労働契約時と同一であることを原則とするが、別段の定めがあれば変更も可能であるということです。
「別段の定め」とは、労働協約、就業規則、個々の労働契約のいずれかに、無期転換後の労働条件を定めることを指します。無期転換事案が発生する前にあらかじめ別段の定めの内容を労働者に周知し、社内ルールとして定着することが大事です。
しかし、「別段の定め」にしたがった労働条件変更は、すべてが有効となるとは限りません。「別段の定め」の内容が、下記のように無期転換ルールの趣旨を阻害する場合や、公序良俗に反する場合には労働条件の変更が無効と判断される場合があります。
- 職務内容などの勤務条件が変わらないのに、賃金などの労働条件が低下した
- 無期転換申込みを抑制するため、労働者が配転に応じられないのを承知で、必要性のない配転条項を定めたなどのケースでは、合理性が認められないとして労働条件の変更が無効と判断される 可能性があります。
就業規則を見直される際には一度ご相談下さい。