精神障害者雇用について
2017/12/15
今月も半ばが過ぎ、師走らしく慌ただしく毎日が過ぎ去っています。
先日、愛知労働局が行っている「精神・発達障害者しごとサポーター養成講座」に参加してきました。平成30年4月1日から、障害者の法定雇用率が2.2%に引き上げられる(民間企業)ことと、これまで身体障害者と知的障害者に限定されていた算定基礎の対象に、精神障害者も加わることから、この秋から始まった無料で受けられる講座です。
法定雇用率が現在の2.0%から0.2%引き上がることで、これまで従業員数50人以上だった対象事業主の範囲が、従業員数45.5人以上に変わります。しかしながら、対象事業主に該当したからといって、すぐに雇用できるほど、障害者雇用は簡単なことではありません。
今現在、身体障害者と知的障害者の就職件数がほぼ横ばいなのに比べ、精神障害者の就職件数は年々増えていると言われています。障害者の求職者の割合も、精神障害者が増えており、これから障害者雇用に取組む企業では、精神障害者・発達障害者についての知識がより必要であり、トップだけではなく現場従業員への理解を深めることも重要な取組となります。
私は、身体障害者と知的障害者の方とは一緒に働いたことがありますが、精神障害者の方とは未だ働いた経験がなく、身近にも居ないため会った経験もないというのが現状です。講座の冒頭で、「精神障害者・発達障害者の方を雇用している企業の方」との問いかけに1割程度の方が手を挙げていらっしゃいました。精神障害者の雇用が身近になりつつあることを感じさせられました。
目に見える障害はわかりやすく、日常で言えば電車内で席を譲るなど、こちらの行動も起こしやすいです。しかしながら精神障害者は、一見ではわからないことの方が多く、自身の障害を職場に明かすか伏せるかで悩む人も多いこともあり、職場では双方の誤解が生じやすいと言われています。それ故に、せっかく就職しても定着率が低い傾向にあるのも現状のようです。
「精神・発達障害しごとサポーター」とは、
- 「支援者」というよりも、精神障害、発達障害のある同僚を温かく見守る「応援者」
- 「応援者」が増えることにより、職場の雰囲気や人間関係がよくなることを期待!
- 基本的な知識を持つことで、「応援者」として、一緒に働いてください
という目的でスタートした講座です。
講師は、普段障害者と面談をされている職安の方で、実話を交えながらわかりやすく話を進めて下さいました。
頭で考えているだけでは、精神障害者雇用は不安ばかりが浮かぶだけですが、そもそも精神疾患とは誰もが発症し得る病気と言われており、過剰なストレスや疲労の蓄積により発症することが多く、発症した場合は継続的な通院と服薬が必要な病気です。
それとは違い、突然発症するものではないのが、発達障害です。大人になってから障害に気付くことも多く、ADHD(注意欠陥・多動性障害)やアスペルガー症候群などの自閉症スペクトラムが代表的な障害です。
精神・発達障害者だからといって、特別な接し方を求められるわけではなく、一般的な同僚と同じように接すればよく、多くの方は自身の特性をよく理解しているようで「障害の特性が強く表れた時にはどう対応したらいいのか」などとあらかじめ対処方法を確認しておけば、トラブル回避にも繋がるとのことでした。
入社間もない人とのやり取りが慎重になるのと同じで、障害者だからと構えすぎるのはよくないことで、どんな労働者にも当てはまる、コミュニケーションの必要性を改めて感じさせられた講座でした。
【参考URL】
「精神・発達障害者しごとサポーター養成講座」
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11600000-Shokugyouanteikyoku/0000170029.pdf
「障害者雇用の現状等」
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11601000-Shokugyouanteikyoku-Soumuka/0000178930.pdf
「プライバシーに配慮した障害者の把握・確認ガイドラインの概要-事業主の皆様へ-」
http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/shougaisha02/pdf/78.pdf