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有給休暇の計画的付与制度

   

近年、就職先の福利厚生を重視する声が高まる中で「有給取得率」も大きなポイントのひとつとなっています。有給休暇は労働者に与えられた権利ですが、現実には人手不足などで取りづらいというのが実情ともいえます。有給休暇の取得率を向上させる意味でも、有給休暇の計画的付与の制度があります。各労働者が保有する年次有給休暇のうち5日を超える分について、労使協定を結ぶことで計画的に休暇取得日を割り振ることができる制度のことをいいます。

 

付与の方法

  1. 企業もしくは事業場全体の休業による一斉付与方法                                                                           この場合、対象となる年休日数のない者には、特別の有給休暇を与えるか、少なくとも6割の休業手当を支払う必要があります。企業や事業場の全従業員に対して、同一の日に年次有給休暇を与える方法です。製造部門など、事業場全体の操業を停止して全従業員を休ませることのできる事業場で活用されることが多くなっています。                                        また、業界の閑散期やゴールデンウィーク・年末年始の連休前後など、顧客に影響が少ない期間に全社として連続休暇を長めに取る場合には、一斉付与方式が適しています。この場合、対象となる年休日数のない者には、特別の有給休暇を与えるか、少なくとも6割の休業手当を支払う必要があります。
  2. 班・グループ別の交替制付与方法                                                                        流通・サービス業など、定休日を増やすことが難しい企業の場合は、班やグループ別に交替で年次有給休暇を付与する方式が考えられます。例えば、各部署に属する社員をA、Bの2グループに分けて、各グループの区分に応じて決められた日に休暇を取得します。事業所は休業とならないので、上記のような休業手当の必要な者は発生しません。
  3. 年次有給休暇付与計画表による個人別付与方法                                                                          個人別に年次有給休暇を付与する方式です。それぞれの労働者に希望を聞き、全体の調整をしたうえで、個人ごとに年休日を指定し、その指定された日に計画年休を取得するものです。一斉付与と同様に、ゴールデンウィークや年末年始に休暇を取得するほか、誕生日や結婚記念日など、労働者の個人的な記念日に休暇を充てられるというように、柔軟性を持たせて休暇を取得することが可能です。

 

年次有給休暇の計画的付与制度を導入する場合には、就業規則にその旨を定めておく必要があります。また、実際に行う場合には労働者代表と労使協定を締結する必要があります。その際の労使協定は、労働基準監督署へ届け出る必要はありません。

 

年次有給休暇の計画的付与制度を導入することで、労働者がためらいを感じずに有給休暇を取得できるようになるというメリットがあります。有給休暇をしっかりと取得できる企業として社会から認知されることは、優秀な人材の確保や労働者の定着率の向上につながります。各企業においては、計画的付与等を活用しながら、有給休暇の取得を促進していくことが大切だといえます。年次有給休暇の取得を促進することは、労働者のモチベーションや労働生産性が向上するだけでなく、企業のイメージアップや優秀な人材の確保につながるなど、労働者にとっても企業にとっても大きなメリットをもたらします。

将来的に年次有給休暇の取得が義務化された時のためにも、今のうちから年次有給休暇の取得促進への導入や取り組みを検討されてみてはいかがでしょうか。

 

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