副業・兼業について
厚生労働省が公開している平成30年1月31日改正のモデル就業規則には以下の様な条文が追加されています。働き方改革実行計画の中で、「副業・兼業の推進に向けたガイドラインや改訂版モデル就業規則の策定」を行うとされたためです。
『副業・兼業』
第67条 労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる。
2項 労働者は、前項の業務に従事するにあたっては、事前に、会社に所定の届出を行うものとする。
3項 第1項の業務に従事することにより、次の各号のいずれかに該当する場合には、会社は、これを禁止又は制限することができる。
1.労務提供上の支障がある場合
2.企業秘密が漏洩する場合
3.会社の名誉や信用を損なう行為や、信頼関係を破壊する行為がある場合
長時間労働に加え、人手不足が深刻化している昨今、働き方にはその有り様に変革が求められつつあります。そこで現在禁止事項としている会社が多いこの副業・兼業について、行政は企業の姿勢を解す意図があるのでしょう。
そもそも副業・兼業の有効性は、やむを得ない場合に限り、基本労働者の自由と言えます。やむを得ない場合は以下のような事由が考えられます。
・競合避止義務(代償措置必要)に違反する場合
・守秘義務に違反する場合
・働き過ぎによって健康が損なわれる場合
・会社の社会的信用を傷つける場合
これらを踏まえ、労働者の兼業・副業を認める会社が増えてくると、以下の様なメリットや留意点が考えられます。(一部ガイドライン引用)
○企業のメリット
1.労働者の自立性・自主性を高める
2.優秀な人材の獲得・流出防止
3.新たな知識・スキルの獲得
4.事業機会が拡がる
○ 従業員のメリット
1.所得の増加
2.別の仕事のスキルや経験によるキャリア形成
3.自己実現の追求
4.将来の企業・転職に向けた準備・試行
○企業の留意点
1.就業時間の把握・健康管理
2.労働者に課せる義務(職務専念義務、秘密保持義務、競業避止義務等)の確保
3.本業への支障
4.人材流出(やぶ蛇)
○従業員の留意点
1.自身による就業時間や健康管理
2.義務(職務専念義務、秘密保持義務、競業避止義務等)の徹底
3.保険適用の可否
業務内容や立場によって取扱いを変えることも可能と考えます。労使双方のメリットが多いようなご検討をいただければと存じます。