退職者に賞与を支払うときの留意点
今回は退職者に賞与を支払うときの留意点について書きたいと思います。
会社が年3回以内の賞与を支払う時、健康保険・介護保険(40歳以上)・厚生年金保険料の社会保険料と雇用保険料を徴収します。保険料率は給与と同じ率で支給日より5日以内に「賞与支払届」を年金事務所等へ届出します。賞与から徴収する社会保険料は将来受給する年金額の計算に含まれますので忘れずに届出を行う必要があります。
そこで賞与をもらった後に退職するという場合もあるでしょう。根本的な問題として、退職する人に賞与を支給するかどうか、この取り扱いについては基本的に「就業規則」に定められているかと思いますので確認下さい。
賞与を支給する月に退職する人がいる場合、社会保険料の徴収を迷うことがあるかと思います。社会保険では資格喪失日という言葉を使いますが、資格喪失日=退職日の翌日を指します。従って資格喪失月は退職日の翌日が属する月を指します。賞与を支払った月に退職する社員がいる時、退職日によって社会保険料を徴収する場合としない場合があります。注目すべきポイントは、月末退職か月の途中退職かという点です。
例えば、賞与支給日が6月10日で月の途中である6月15日に退職した場合、資格喪失日は6月16日となり6月が資格喪失月になります。この場合、賞与から社会保険料は徴収しません。一方で月の末日である6月30日に退職すると資格喪失日は、7月1日となりますので7月が資格喪失月となります。この場合、賞与から社会保険料を徴収しなければなりません。社員が負担する保険料は、被保険者資格を取得した日の属する月から喪失月の前月分まで発生するからです。
ここで注意したいのが月の途中に退職して賞与から社会保険料を天引きしない場合です。社会保険料を徴収しない人は「賞与支払届」も作成しないと思われる方もいると思いますが、社会保険料を徴収しなくても「賞与支払届」の提出は必要となります。また、賞与を全ての従業員に対して支給しない場合でも「賞与支払届」の提出は必要になりますのでご注意下さい。
しかし、社会保険料を徴収しないのに「賞与支払届」を提出するのでしょうか。それは、賞与にかかる社会保険料には上限が設けられているからです。健康保険料については、年度(4月1日~翌年3月31日)の賞与累計額が540万円、厚生年金保険料について1回あたり150万円が上限となります。この累計額は、転職しても、転職先の保険者(協会けんぽや健康保険組合など)が同じであれば1年間の累計額に合算するため、保険料を徴収しない場合でも賞与支払届を提出する必要があります。
ご不明な点がございましたら、ぜひ当社までお問い合わせ下さい。