ヒューマンエラー防止から繋がる労災ゼロ
2018/06/15
6月に入り、今年も労働保険料の申告の時期になりました。来月には社会保険の算定基礎届の提出期限もあるので、賃金額が確定している労働保険は早めに算出して、今月中には申告しておきたいところです。
さて今年は、原則として3年に1度見直しされる“労災保険率”の改定年にあたります。
労災保険率は業種別に厚生労働大臣が設定しますが、今回の改定では引上げ3業種、据置き31業種、引下げ20業種となり、前年度の平均労災保険率1,000分の4.7が1,000分の4.5に引き下げられました。
保険率の算定は、“過去3年間の保険給付実績等に基づいて「料率に係る基本的な算定方式」により行う”とされています。つまり、労働災害の発生が少ないほど、労災保険率が低くなるというわけです。
そこで今回は、「中央労働災害防止協会」が公開している、eラーニング「なくそうヒューマンエラー」(平成29年度厚生労働省・補助事業)を学んだ報告です。
https://www.jisha.or.jp/order/e-learning/index.html
※掲載期間 平成31年3月31日まで
「中央労働災害防止協会(中災防)」は、事業主の自主的な労働災害防止活動の促進を通じて、安全衛生の向上を図り、労働災害の絶滅を目指すことを目的として『労働災害防止団体法』施行と同じ、昭和39年(1964年)に設立された協会です(中災防ホームページより一部引用)。
少し前まではDVD教材が主流でしたが、最近はスマートフォンでも見れるeラーニングが広まりつつありますね。場所を選ばないし、パソコンよりも普及率の高い媒体で学べるのはとても便利です。
この中災防のeラーニングでは、「オフィス編」「製造業編」「小売業編」の3編が用意されており、各編2本構成で約15分程度の教材となっています。
「人は、忘れる」「人は、間違える」「人は、思い込む」の3つのパターンで、各編で発生しがちなヒューマンエラーの紹介と、ヒューマンエラーの発生原因と防止のための工夫について学ぶことができます。
何かの指示を受ける際にメモを取ることは重要ですが、手元に書くものがなかったり、急いでいて後で書くつもりがうっかり忘れていたり、個数や時間といった数字を聞き間違えたり。誰もが一度は経験したことがあると思われる事例が各編で用意されています。
このようなヒューマンエラーとは別に、「面倒だから」、「多分大丈夫だろう」、「みんながやっているから」といった、ダメなことがわかっていながらやってしまうリスクテイキングとが、人がやってしまう「不安全行動」と呼ばれ、それに、マンホールのフタが開いているなどの物の「不安全状態」がプラスされて事故は起こると言われています。
安全大会を毎年開催されている会社も多いと思いますが、私も新卒で入社した住宅メーカーで安全大会の経験があります。工事監督が前に出て、「左手を腰へ、右手人差し指を立てて、構えてください」から始まる“指差し呼称”を、全従業員で実践していました。営業事務として入社したため、1年目の安全大会での“指差し呼称”は衝撃で、労災事故の恐ろしさもまだ知らないため、“指差し呼称”は恥ずかしく感じていました。
工事事務に移ってからは、労災が起こる前の「ヒヤリハット」の報告書も目にするようになり、労災事故を起こさないための現場の“指差し呼称”の重要性は身に染みて感じました。
最近は、ワンクリックで処理が進むシステムも多く、それゆえに担当者一人で手続きが完結する仕事が増えているため、チェック体制の緩さも問題視されることもあります。エラーは起こるものなので、起こさないための工夫はどの仕事でも必要です。
当社の事務手続きにおいて、ありがちなヒューマンエラーとしては、基礎年金番号等の数字を転記ミスしたり、FAX番号を押し間違えたり、担当者のお名前を聞き違えたり…あげれば数限りなくあると思います。動作や声は小さいですが、私は今でも“指差し呼称”は実践しています。
メモを取り復唱をする、「あの件」などのあいまいな言葉は必ず「何か」を具体的に確認する、など、ヒューマンエラーはちょっとした心がけで防げるものも多いはずです。
「人は、忘れる」「人は、間違える」「人は、思い込む」ものなので、”〇〇だろう“ではなく、”〇〇かもしれない“という意識を持つことが重要。中災防のeラーニング、私は参考になりました。