随時改定(標準報酬月額)の取扱いの一部改正について
2018/08/06
この夏は「危険な暑さ」と言われ、猛暑日が続いていますね。最高気温が30度を超えたら“真夏日”、35度を超えたら“猛暑日”と呼ばれていますが、そろそろ40度を超えたら“〇〇日”と言う名称が付きそうです。自分は大丈夫と過信するのではなく、くれぐれも熱中症には気を付けましょう。
社会保険の算定基礎届(定時決定)の提出が終わったばかりですが、随時改定での取扱いに一部改正がありますのでお知らせします。
定時決定は、実際の報酬と標準報酬月額との間に大きな差が生じないように、毎年4月から6月の賃金を元に標準報酬月額を決めるもので、随時改定の要件に該当しなければ、9月から翌年8月までの原則1年間適用されます。
ただし、「前年7月から今年6月までの間に受けた報酬の月平均額から算出した標準報酬月額」との間に2等級以上の差を生じた場合で、その差が業務の性質上例年発生することが見込まれる場合などは年間平均を適用するなどの“保険者算定”と呼ばれる、厚生労働大臣が報酬月額を算定し標準報酬月額を決定する方法もあります。
随時改定は、被保険者の報酬が、昇給や降給等の固定的賃金の変動に伴い、大幅に変わる場合に行うもので、
- 固定的賃金に変動があった場合。
- 変動月からの3ヶ月間の支給額の平均と、それまでの標準報酬月額との間に2等級以上の差が生じた場合。
- 3ヶ月ともに、支払い基礎日数が17日(特定適用事業所に勤務する短時間労働者は11日)以上の場合。
のすべてを満たした場合に適用されるものです。
今回の改正では、今年10月1日以降の随時改定からも、定時決定と同じく“保険者算定”の対象となる場合が追加されました。
https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tc3223&dataType=1&pageNo=1
変動月からの3ヶ月間の支給額の平均から算出した標準報酬月額と比べるのは、次の「(A)+(B)」です。
(A)変動月からの3ヶ月間の間に受けた固定的賃金の平均。
(B)変動月前の継続した9ヶ月と変動月からの3ヶ月の間に受けた非固定的賃金の平均。
例えば、毎年7月が昇給月で、9月までの3ヶ月が繁忙期の会社の場合で、現在の標準報酬月額220千円(あ)の従業員の賃金を当てはめて考えてみると、
平成29年10月
~平成30年6月 |
平成30年7月
~平成30年9月 |
|
基本給 | 200,000円 | 230,000円 |
残業代 | 20,000円 | 90,000円 |
合計 | 220,000円 | 320,000円 |
※残業代は計算しやすいように、変動前9ヶ月、変動後3ヶ月それぞれ同額にし、支払い基礎日数も全て17日以上で考えます。
◆これまでの随時改定
固定給の変動後3ヶ月の平均=320,000円
10月改定で、5等級上の標準報酬月額320千円(い)になります。
◆今回の改正での適用
(A)変動月からの3ヶ月間の間に受けた固定的賃金の平均=230,000円
(B)変動月前の継続した9ヶ月+変動月からの3ヶ月の間に受けた非固定的賃金の平均=20,000円×9ヶ月+90,000円×3ヶ月÷12=37,500円
(A)230,000円+(B)37,500円=267,500円
10月改定で、2等級上の標準報酬月額260千円(う)になります。
(い)と(う)の等級差が2等級以上あり、(あ)と(う)の等級差が1等級以上あれば、“保険者算定”の対象となります。
“保険者算定”の申立にあたっては、定時決定の際と同じく、申立書と被保険者の同意書が必要で、加えて“保険者算定”の要件に該当するものであることを保険者が確認できるような書類の提出が必要です。