賞与支払届
早いもので平成30年も残すところ1ヶ月となりました。仕事納めに向かってラストスパートをかけられる方も多いのではないでしょうか。
さて、今回は12月に支給されることが多い賞与についての届出についてみていきたいと思います。賞与とは、一般的にボーナスと呼ばれるもので、会社が従業員に対して支給する特別な給料です。年に3回以下の支給であれば賞与となり、年4回以上の支給になると標準報酬月額の対象となるため、賞与ではなくなります。また、賞与は毎月の給料とは異なり、支給の義務はありません。会社が不要と考えているなら、支給されないこともあります。
賞与の支払いが決定されましたら、賞与支払届の提出が必要となります。賞与支払届とは、賞与を従業員に支給した時に管轄の年金事務所、または事務センターに提出する必要がある「被保険者賞与支払届」「被保険者賞与支払届総括表」のことです。支給日から5日以内に提出が必要です。加入が協会けんぽ(全国健康保険組合)であれば一括して提出ができます。協会けんぽ以外の場合は、各健康保険組合と日本年金機構との2か所への提出が必要となります。また、賞与の支払予定月に支払がない場合であっても、被保険者賞与支払届総括表の提出が必要です。その場合、不支給と記載しての提出となります。
賞与に対して社会保険料の計算をするときには、「標準賞与額」から計算します。標準賞与額とは、賞与の総支給額から、1,000円未満を切り捨てた額のことです。その標準賞与額から計算して、健康保険・厚生年金の社会保険料を決め、その保険料は会社と労働者で折半して負担します。保険料率は毎年改正がありますので注意が必要です。また標準賞与額には上限があります。健康保険は年度の累計額が573万円で、厚生年金は1ヶ月あたり150万円です。健康保険の場合、累計額が573万円を超えたときは、健康保険標準賞与額累計申出書を提出します。また厚生年金は1ヶ月で2回以上支給される際も、合算上限額が150万円となるので注意が必要です。150万円を超えて賞与が支払われる場合、厚生年金の保険料は150万円の標準賞与額に保険料率をかけて算出します。賞与額は、将来的に受給する年金額計算の基礎となるのでしっかり管理し、間違いなく記載して提出するようにしましょう。
退職者が賞与を受け取る場合、賞与支払届に記載する対象者は賞与の支給当日まで在籍していた被保険者です。退職した後に賞与が支給されている場合、賞与支払届に記載する必要はありません。もしすでに記載されているのであれば、二重線で消しておきます。
最後に保険料の徴収について各ケースについてご参照ください。
■70歳以上で健康保険のみ加入の場合
健康保険料→徴収
厚生年金保険料→徴収なし
■12月に65歳の誕生日を迎える場合
健康保険料→徴収
介護保険料→徴収なし
厚生年金保険料→徴収
■12月に40歳の誕生日を迎える場合
健康保険料→徴収
介護保険料→徴収
厚生年金保険料→徴収
■12月退職者の場合
末日より前に退職→徴収なし
末日にて退職→徴収
健康保険は年度累計(毎年4月1日から翌年3月31日)の対象となるため、退職日までに支払われるのであれば賞与支払い届の提出が必要となりますが、退職後に支払われる賞与に対しては、提出不要となっています。
事前に賞与支払月の予定を年金事務所に届け出をしておくと、賞与支払月の前月に書類が郵送されてきます。提出を忘れないために事前に届け出をしとおかれるとよいでしょう。