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過労死等防止に向けてできることから

   

今年は梅雨明けを待たず、子供たちの夏休みに突入しましたね。

名古屋市の学校では、私が知る限りは初めて『学校閉庁日について』のお知らせが配布されました。学校における教職員の働き方改革の一環としてで、期間はお盆の時期5日間ですが、「実施期間においては、原則、部活動等の校内業務や対外的な業務(電話対応を含む)を行いません。」とありました。

これまでは、先生方は交替でお盆も出校されていたということですよね。てっきり学校は閉鎖されているものだと、この歳までずっと思っていました。部活動時間の短縮など、近年名古屋市はいろいろな取組みをしていることは知っていますが、教職員も過労死等防止のための調査対象業種のひとつとしてあげられているので、教育現場の大変さも身近に感じられました。

4月からは働き方改革関連法が順次施行されているので、企業においても『働き方改革』の言葉は幅広く浸透してきたと思います。中でも全企業が対象となっている年次有給休暇の5日取得義務化は労使ともに一番の関心ではないでしょうか。自身の年次有給休暇の残日数管理も、この機会に関心を持ってもらうためにも、現在の残日数の各従業員への提示をされる企業も増えています。

平成29年の年次有給休暇に取得率は51.1%(前年49.4%)。国の目標は70%なので、それに比べるとまだまだですが、徐々に取得率は上がっています。顧問先のお客様で見ると、企業規模が大きい会社での“計画的付与”制度導入が増えていると感じられるため、中小企業にとって取得率引き上げは難しい現状であることに変わりないように思います。

過労死等防止として一番思い浮かぶのはやはり長時間労働の是正です。近年は仕事よりも家庭やプライベートを優先する人が増えているため、時間外労働も減少傾向にあるようです。ただ、企業にとっては人手不足が続く現状で、各人の就業時間も短くなり、さらに業績も上がらないでは、存続にも関わる死活問題となります。

長時間労働を強いることなく、少ない労働力でいかに生産性を高めるかは、全ての業種において共通の課題です。

当社のような社労士業界は、労働保険の年度更新と、社会保険の算定で、毎年3月から7月にかけて繁忙期となります。今年は働き方改革関連法の施行と重なり、就業規則の改正のご依頼も増え、どの事務所でも例年以上の繁忙期となったようです。

時間外労働の上限規制に当てはめ、特別条項に該当するかと考えると、例年の年度更新と算定は「通常予見できる」ため、「臨時的」としても該当しないのではないかと思われます。臨時的に人を雇うなどの対策で回避ができるからです。しかしながら、今回の法改正が、このような形で繁忙期と重なるとは、私は「予見」できませんでした。

当社では電子申請を勧めているため、例年は労働局へ申告に訪れていたところを、今年は電子申告を増やすことで、多少の時間外労働削減に繋がったと実感しています。算定基礎届や賞与支払届と同様、紙ベースだと事業主印をいただく必要があるところ、電子申告では訪問や郵送準備の手間も短縮されるので、事業所様に数字の確認をいただく必要は省けませんが、押印や返送の手間が省けて助かるという担当者の方からのお言葉もあり、双方で時短になったようです。

労働人口が減りつつある今、少しずつ業務改善をすることで、作業効率が上がり、ワークライフバランスが保てる企業として、従業員の定着率が上昇することは、実は当社自身もかなり望んでいます。

面白い取組をされている企業の方、当社へもぜひご紹介ください。

↓『平成30年度版 過労死等防止対策白書』骨子
https://www.mhlw.go.jp/content/000376304.pdf

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