中小企業における時間外規制への対応
2020/02/03
2020年4月から建設(交通誘導警備を含む)・自動車運転・医師を除いて中小企業に対して、1か月について45時間(3か月を超える1年単位変形制採用の場合は42時間)、1年について360時間(3か月を超える1年単位変形制採用の場合は320時間)の上限規制が適用となります。当該上限規制が無理な場合は、特別条項付き協定を監督署に届けることによって、月45時間までの規制を年6回守ることを条件に、1年720時間まで時間外労働が認められます。時間外・休日労働が2か月・3か月・4か月・5か月・6か月平均で月80時間を超えたり、単月で月100時間以上になったりしてはいけませんので、月の目安は、75時間(3か月を超える1年単位変形制採用の場合は78時間)を年6回までが安全上限となります。計算は、(45時間×6回)+(75時間×6回)[(42時間×6回)+(78時間×6回)]=720時間です。
ただ、問題は、月45時間を年6回に抑えられるかということです。
無理ならどうするか?
「残業代を払えばいい」は答えではありません。法規制ですから残業代を払ったとしても労働基準法違反として、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられます。
すべての会社に万能な施策ではありませんので、あらかじめご承知おきください。
条件は、以下の通りです。
1. 完全週休2日制は達成できている。
2. 従業員と話し合う風土がある。
あえて、従業員への周知徹底を経て、1か月単位の変形労働時間制を導入してください。
休日が増えるわけではありません。月に働く時間が増え、増えたにもかかわらず残業にはならない。そんな施策です。せめて週休2日制の時の時間単価だけは維持してあげてください。
つまり、1日起算の1か月単位の変形制の場合、
1月 177時間 - 旧所定労働時間=超過時間→これで一日の所定労働時間を増やす。以下同じです。
2月 165時間(うるう年以外は160時間)
3月 177時間
4月 171時間
5月 177時間
6月 171時間
7月 177時間
8月 177時間
9月 171時間
10月 177時間
11月 171時間
12月 177時間
1月、2月、8月、12月はすべての所定労働時間を9時間にすることが可能だと思います。
他の月は週を決めてその週だけ所定労働時間を9時間とか10時間にすることが可能となるはずです。
ただ、何度も言いますが、この方法は、不利益変更です。ですから、従業員の同意を得ないと導入は無理です。そんな施策を披露するなと言わること覚悟で開示しています。
その前に、完全週休2日制すら無理という会社は、1か月単位の変形労働時間制や1年単位の変形労働時間制を導入されて、法に合った運用の方法でなんとか乗り切ってください。
具体的な導入や監督署への届出に関しては、まずは厚生労働省のバンフレットがかなりの出来です。必ず目を通してみてください。それでもわからなければ有料ですがお尋ねください。