テレワークの導入について
2020/04/10
これまでに経験のない“緊急事態宣言”が発令され、国民一人一人の意識の向上が求められる日々が続いています。やらされているのではストレスになるだけなので、いろいろなことを考えるいい機会だと思い、ぜひ前向きに乗り切っていきましょう。
新型コロナウィルス感染症(COVIT-19)の影響もあり、テレワークの中でも「在宅勤務」が検索ワードで上昇しています。
テレワークについては「働き方改革」の中でも注目はされていましたが、私がイメージしていた導入事例は、直面する“2025年問題”への対応として、介護離職者をいかに出さないかという取組みとしての導入が一つでした。あとは待機児童問題への対応です。
テレワークには、
・在宅勤務…会社に出社せずに自宅で仕事を行う働き方
・モバイルワーク…移動中の交通機関車内や喫茶店などで仕事を行う働き方
・サテライトオフィス勤務…通勤途中の場所などに設けられたサテライトオフィスを利用することで通勤時間の短縮等ができる働き方
の3つの形態があります。
まさか感染症による影響で、急に導入を迫られるとは思ってもみませんでしたが、今回は感染症の拡大抑制のための外出自粛や時差出勤の推奨により、これまでどおりに社員が会社に出勤できず、企業としては事業継続も考えなければならずといった両面があり、テレワークとBCP(事業継続計画)が一度に直面している状況ではないでしょうか。
今回は、テレワークの中でも注目されている「在宅勤務」について考えます。
そもそも労働時間とは、“使用者の指揮命令下に置かれている時間”であり、管理監督者を含む経営層の目の行き届く範囲で働く=会社に出勤して働くことが前提でした。営業などで外回りをする社員が増えてくると、行動が逐一把握することができないため、「みなし労働時間」という言葉も出てきました。
しかし、情報技術の発達により、一人1台のモバイル端末(スマートフォン等)を持つようになると、すぐに連絡を取ることも可能になり、外回り中の営業マンの行動=労働時間の把握も可能になってきました。
テレワークは、まさにICT(情報通信技術)の発展により実現可能となった働き方です。
では、モバイル端末さえあれば、「在宅勤務」がすぐにできるのでしょうか。確かに今回のような緊急事態の場合は、すぐに実現させる必要性もあったと思いますが、答えはノーです。
労働基準法では、労働条件の明示が定められており(第15条)、詳しくは労働基準法施行規則第5条の中にありますが、“就業の場所”も明示すべき労働条件にあたります。「在宅勤務」を導入するのであれば、少なくとも労働条件通知書などの書面で、就業場所として「自宅」などを追記して交付する必要があります。
あとは就業規則の中に、「在宅勤務」に関する文言を追加することで、社内の混乱を招かないようなルール作りをし、社員に周知させることです。例えば、対象となる業務はどの範囲なのか、出退勤管理はどのように行うのか、その日の業務報告は何で行うのか、教育訓練はどうするのか、通信費や水道光熱費の負担はどうするのか、在宅勤務の評価は何で行われるのかなど、決めておきたいルールは意外とあるものです。『在宅勤務規程』として別規程を設けるとわかりやすいですね。
でも、もう一つ気を付けなければならない重要なことは、セキュリティ対策です。Windows7のサポート終了に伴い、慌ててWindows10を導入されたところも多いと聞きます。Windows7のままでは、不正アクセスなどにより、企業の大事な情報が漏洩する危険があったからです。
当社のパソコンの入れ替えは、ご紹介でご縁のあったプログラミング会社に依頼したのですが、先日も社長と最近話題の「在宅勤務」の話をする中で、情報通信について教えていただきました。普段の仕事でソフトは使っても、プログラミング等になると全くわからないので、とても心強いです。
目に見えないウィルスはパソコンでも同じく脅威で、「知らないうちに感染」することもあり、感染しない対策を知っておかなければなりません。
インターネットを活用した「在宅勤務」を導入するのであれば、セキュリティ対策を万全にしたモバイル端末を社員に配布し、安全なネットワーク(モバイルWifi等)環境の準備も必要です。
助成金の新設などで、労働局も電話が繋がりづらいですが、テレワークの導入についても、もともと助成金は設けられていました。だだし、こちらは単なるパソコンやタブレット等の購入は支給対象ではありませんので、詳しくは2点のパンフレットをご覧ください。
【「働き方改革推進支援助成金(テレワークコース)」のご案内】
https://www.mhlw.go.jp/content/11909000/000617782.pdf
【新型コロナウィルス感染症対策のためのテレワークコース】
https://www.mhlw.go.jp/content/11909000/000617764.pdf
新型コロナウィルス感染症(COVIT-19)にばかり気が取られて、自社の大事な情報が漏洩することのないよう、「在宅勤務」の導入には、しっかりとした検討が必要ですね。