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整理解雇を行う際の注意点

   

新型コロナウイルスの影響により、各種助成金や給付金の申請が殺到していますが、全国では3000人超の労働者がコロナ関連で解雇されています。

東京のタクシー会社では運転手の約600人に再雇用を前提とし、合意の上での退職を求めたことでもニュースになりました。

新聞等では、「退職同意書に記入を求められた。」や「解雇」など異なる表現がされており、詳しく調べてみました。

 

今回のタクシー会社の最初の記事では、退職同意書(=合意のもとでの解約)による契約解除とありました。

「合意のもとでの解約」とは、労働者と使用者が互いに納得・合意した上で労働契約を解約する行為になります。もちろん、労働者が脅迫や誤解が生じず、自由のもとでの意思決定が必須となります。

使用者側からの解雇とは異なるため、解雇予告手当が不要となり、内容次第では即日の解約も行えます。また、解雇には有効か無効かなどがあり、常に労使紛争になりかねないリスクも生じます。

こうしたため、解雇には法律により一定の制限が設けられています。

 

では、今回の新型コロナの影響により「解雇」をする必要が生じた場合、それが有効となるためには、下記のことに注意する必要があります。

新型コロナを原因とする解雇は、事業不振による整理解雇に分類されます。

整理解雇を行う場合は、(1)解雇の必要性(2)解雇回避の努力義務(3)解雇者選定の合理性(4)解雇手続きの妥当性。

以上の(1)~(4)を満たせば、有効とする判断が裁判では出されてきました。

 

具体的には、今回の新型コロナの影響による経営不振は(1)は満たすかと思われますが、(2)~(4)は、雇用調整助成金の申請等を行い解雇回避に向けて努力したか、解雇が必要な人員数か、解雇において労使の協議は十分なものであったかが、有効か無効か判断されるポイントとなっていくかと思います。

 

 

次に雇用保険での失業給付についてですが、タクシー会社では、「休業手当を貰うより雇用保険での失業給付を受給してください。」と従業員へ伝えてたみたいです。

しかし、景気が回復された時にタクシー会社に再雇用が予定されている場合には、失業給付が受給できるかどうかは難しいところもあります。

再雇用をタクシー会社と約束している場合に、他会社への求職活動を行っても職に就かない場合が生じるなど、失業給付の受給の目的と離れているとみなさせる可能性があるためです。

 

 

雇用調整助成金のみならず、県独自や経産省でも様々なコロナ関連の給付金が用意されています。

政府の対策を最大限に生かし、少しでもダメージを避けるように行動していく事が必要となってきます。

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