日本式ジョブ型雇用
日立製作所や富士通などで「人に仕事を充てる」のではなく、「仕事に人を充てる」ことを理念とするジョブ型雇用制度の導入が進められています。
当該制度を導入するためには、従業員ごとに業務内容と報酬を細かく定め、成果に応じた給料を支払う仕組みが必要となります。
そもそも終身雇用と年功序列を前提とした日本型のメンバーシップ型雇用といわれる制度とどこが違うのでしょうか。
● 基本的考え方・・・人ありき→職務ありき
● 採用・・・新卒採用中心にキャリア採用→新卒採用と同等にキャリア採用重視
● 採用要件・・・コミュニケーション力・やる気・論理的思考力→問題解決力・人脈・専門的知識力
● キャリア形成・・・会社にゆだねる(会社が育てる)→自己学習する(自ら育つ)
● 報酬・・・能力・属性によって決定(あまり増減しない)→同一職務同一報酬(職務変更に連動して増減)
● 昇進・・・空席ポジションの有無にかかわらず本人の能力向上に応じて昇格→空席ポジション有の場合、社内外から登用
● 異動・・・業務命令によりすべての部署が対象→配属先を採用時に決定(社員同意なしの異動は発生しない)
ここから見えてくる、障壁と対応策はどんなものでしょうか。
1 人事制度における年功的運用の慣例化→年齢にこだわらない経験と成果に見合った人材登用(特に再雇用制度の多様化)
2 社員の既得権化(特に40代後半から50代)→多様な選択による支援制度
3 企業内労働組合の平等主義→人材登用・選択支援制度構築に組合の声を反映
コロナ時代を生き抜くために企業競争力を高める人事制度が求められます。その一つがいままでの日本型雇用を活かしたジョブ型雇用の模索です。
あくまでも「考える人が主役」である制度の模索をどう追究していくか。これこそが、日本のための人事制度だと思います。
試行錯誤を繰り返しながら日本人の利点を活かす制度の構築を顧問先様と一緒に作り上げていきたいと思います。