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ビジネストランスフォーメーション

      2021/02/19

新型コロナウィルス感染症のワクチンが日本でも承認され、医療従事者への先行接種が始まり、高齢者や基礎疾患のある人への接種も順次始まろうとしています。一年前の今頃は、未知のウィルスの登場にここまでの生活の変化が訪れるとは思ってもみませんでした。

SNSでのデマの拡散による買い占め、まさかのマスク高騰、外出自粛による学校休校や在宅勤務、日本の文化でもある印鑑の廃止などなど、この一年で本当にいろいろな変化がありました。

デジタルの分野でも、数年かけて導入されるはずだったものが、コロナ禍で一気に導入を余儀なくされたと言われていますが、身近な変化として、リモート会議やリモート飲み会を抵抗感なく経験された方も多いと思います。

もちろん当社でもリモート会議を行っています。複数名が集まって利用できる会議システムもありますが、密を避けるためにも当社は2~3名での同室参加、またはそれぞれのPCでの参加が大半です。数社のお客様とTeamsやZOOMで行いましたが、多分、電話が初めて繋がった時に人類が感じたワクワク感、それがわかる気がしています。

一日中リモート会議を経験されている方からすれば、私のワクワク感はとうに過ぎていて、次の顧客までの道中に頭をリセットできていた方が良かったという声が聞こえてきそうですが。

平成30年6月の働き方改革関連法成立により、有給休暇の取得義務化、時間外労働の上限規制、同一労働同一賃金などさまざまな法律が施行されていますが、こちらはコロナ禍でも特段影響なく着々と進んでいます。労働基準監督署の監督官の動員数も徐々に増えており、本格的に働き方改革実行への取り締まり強化が進んでいることがわかります。

緊急事態宣言のさなか、在宅勤務を決断せざるを得なかった場合でも、労働時間の管理は付いてきます。経営者と一体的な立場にある管理監督者には、労働基準法の「労働時間」や「休憩」「休日」といった規定は適用されませんが、健康管理の観点からは労働時間の客観的な把握が必要とされています。

この法律が施行される際、相反する法が存在することで、「結局、労働時間の把握は要るの?要らないの?」という疑問が生じました。もちろん答えは“把握しなければならない”です。疑問に思いながらも法で決まったなら仕方ないと思う反面、モヤモヤ感もありましたが、一部の情報では、この健康管理時間の把握により、名ばかり管理職の場合などの未払い残業代事案で労働時間としての利用が可能となり、請求が容易になるのでは言われています。

そして在宅勤務の先に見えてくるのが、従業員の個人事業主化(フリーランス化)です。労働時間の管理も、時間外割増賃金の支払いも、最低賃金も関係なくなります。今の仕事をそのまま請け負ってもらい、これまでの社会保障の部分は、報酬の上乗せでカバー。従業員にとっても、出社や会議への参加、時間的制約などが一切なく、自身の裁量で仕事ができる、在宅勤務の延長線上に見えてくる、理想的な働き方に感じられるのではないでしょうか。

しかしながら、この個人事業主化による業務委託契約も、注意しなければ、これまで同様に指揮命令下に置いてしまうことで、「偽装請負」という問題が発生します。ある日を境に部下が個人事業主として会社と業務委託契約を結んだ場合、仕事の依頼方法が変わることをしっかりと理解しておく必要があります。

個人事業主化で先陣をきっておられる、体重計やタニタ食堂でおなじみの、タニタの谷田千里社長のインタビュー記事は、ネット上でも多く出ているのですが、検索ボックスに「タニタ 個人事業主」と入れると次に「違法」というキーワードが出てきます。

直接お話を聞いたわけでもないので、私のあくまでも個人的な意見ですが、谷田社長のお考えは新しく魅力的なものだと思います。ネット上でかなり叩かれていても、なお貫かれるには、相当の準備を要されたのではないでしょうか。

新型コロナウィルス感染症を発端に、ビジネスでもさまざまな変化「ビジネストランスフォーメーション:BX」が起こりつつあります。これまでのやり方を根本的に変え、そして常に変わり続けることが必要とされる、まさに改革です。

ひとつの企業に就職すれば、定年まで働き続けられる時代は終わりつつあります。経営層もさることながら、労働者もいろいろな知識や情報を得て、契約書はしっかりと中身を確認し、自らが選択した働き方を理解し、自己管理することが重要です。

あるものに当てはめるのではなく、各社のニーズに合った改革が進むことが必要です。

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