どうなるコンビニ戦争
日本フランチャイズチェーン協会によると、コンビニ既存店の来店客数は2020年で約151億人(前年比-10.4%)、売上高10兆1580億円(前年比-4.7%)、客単価673.2円(前年比プラス6.4%)で国内店舗は6万店に迫っています。
10年前の2010年におけるコンビニ既存店の来店客数は、129億人、売上高7兆3947億円、客単価570.6円、国内店舗数4万3372店でした。
大手コンビニ3社の2019年度平均日販は、セブンイレブンが65万6000円、ローソンが53万5000円、ファミリーマートが52万8000円です。年商でみれば、セブンが2億4千万円、ローソンが1億9千500万円、ファミマが1億9千300万円となります。
ここまで来るまでの変遷を見ていきたいと思います。
コンビニ誕生のきっかけは、1974年の大規模小売店舗法(大店法)施行です。これにより大手スーパー各社は大型店の出店にブレーキがかかり、かわりにコンビニ業態の開発が進みました。酒販売の経営者やたばこ店の店主などがFC(フランチャイズ)のオーナーとして登場しました。
それが、1990年代後半になると、大手スーパーの経営が悪化し、収益源に育ったコンビニ事業は軒並み売却対象となりました。伊藤忠は西友からファミマ株を、三菱商事はダイエーからローソン株を取得し、「商社対セブン」の構図が鮮明となりました。その当時のFCオーナーは、脱サラ組が主流になってきました。「300万円で夢を買おう!」の時代です。
現在では、店主が高齢化し、担い手が減少し、複数店舗経営も促進され、直営への切り替えも目立ってきました。セブンは契約は15年、ローソンとファミマは10年ですが、契約を更新しなかった店舗は、2019年までの3年間で、セブンは1300店舗中175店、ローソンは1100店舗中422店、ファミマは2500店舗中469店に及んでいます。
対策として、ローソンは2021年3月から新たに5年満期のFC契約を設けます。ファミマは2020年3月、不採算店舗などを対象とした「店舗再生本部」を設け、直営店を257店から398店に増加させました。店舗を立て直し再びFC化を目指す戦略です。
参考となる動きとしては、日本マクドナルドホールディングスのFC化率は約7割に及びますが、その大半は元社員です。直営店を譲り受けたり、高齢になったオーナーの店を引き継いだりしています。
モスフードサービスやカレー店を展開する壱番屋、喫茶店のコメダも、オーナー候補者に一度入社してもらい、店舗で研修を積んだうえでFCオーナーとして独立する制度があります。
今後のコンビニ業界が立ち行くためには、FC制度の見直しをしていかければ、頭打ちからの脱却は難しいかもしれません。
それと、国内でも楽天が米ウォールマートから西友株を取得するなど、IT企業が実店舗に接近する動きがあります。「商社」の次は、「IT大手」との距離が焦点になってきそうです。どうなるコンビニ戦争。
ますます目が離せません。 参考文献 日経MJ「2021年2月26日(金)」記事。