女性活躍推進について
先日、世界経済フォーラムが発表した「ジェンダー・ギャップ指数」で、日本は156ヵ国中の120位との報道がありました。2020年12月発表では、153ヵ国中の121位。若干順位を上げたものの、主要7ヵ国(G7)では最下位とのこと。
ドイツ11位、フランス16位、イギリス23位、カナダ24位、アメリカ30位、イタリア63位なので、120位の日本がかなり遅れていることが分かります。4分野の中で、「教育」と「健康」については男女平等が実現されているようですが、「経済」と「政治」は不平等にスコアが近く、特に「政治」については世界平均よりもかなり低い位置のスコアが出ています。
SDGsの中でも「5.ジェンダー平等を実現しよう」があり、“ジェンダーの平等を達成し、すべての女性と女児のエンパワーメントを行う”とされていますし、日本では、2016年に「女性活躍推進法(女性の職業生活における活躍の推進に関する法律)」が10年の時限立法として施行されています。
生産年齢人口の減少に向けた取組の中で、女性の就業も期待されていますが、コロナ禍で女性の離職が増え、働き口が見つからない人、この機会に就業をやめる選択をした人などさまざまな要因も重なり、女性の就業率は期待とは裏腹に逆行しているようです。女性の多くが、短時間労働(パートタイマー)を選択していることで、有期契約の満了や雇止めといった影響も受けやすかったのも要因のひとつです。
最近、娘の通っていた中学校の先生の言葉で私自身も気付かされたのが「出席番号が男子生徒からはじまる」ことです。学校によっては、男女関係なく五十音順で出席番号がついていましたが、言われて初めて違いを認識しました。私の学生時代は男子始まりだったので、全く違和感がなかったのです。日常で、自分自身が当たり前に男性の次という意識があることに、正直驚きました。先生は、もちろんこの並びを善しとしていません。
「女性活躍と掲げなければ、日本では女性が活躍できないのか」という意見もある一方で、「女性活躍と掲げられなければ、意識が向かず、行動に結びつかない女性も多い」のも現実ではないでしょうか。
「女性活躍推進法」では一般事業主行動計画の策定が義務付けられていますが、現在の「常時雇用する労働者数”301人以上”の事業主」から、“101人以上“の事業主に拡大されるのが、来年の4月からです。100人以下の事業主は努力義務ですが、人材確保の意味でも策定する意義はあります。自社の状況把握や課題の分析が必要なため、計画の策定には時間を掛けることをお勧めします。
計画の目標策定例としては「〇〇職の女性社員を、現在の3名から10名以上に増やす」や「管理職に占める女性の割合を30%以上にする」などが挙げられますが、女性従業員の意見を盛り込まなければ効果は見込めません。
新聞記事などでも、家事・育児が女性に偏りすぎていることが取り上げられているように、自社の女性従業員が、なぜ社員ではなくパートタイマーを選択しているのか、管理職を望まないのかを把握することも重要なカギを握っています。
具体的な取組に「女性従業員への教育機会を増やす」ももちろん大事ですが、「家事・育児分担のノウハウ教室の開催」や「家族の会社見学会」も面白く、健康経営やワークライフバランスに向けた他の取組と合わせることで、目標達成への近道に繋がるかもしれません。
女性軽視発言や、報道番組の上から目線CMなどが問題になったように、女性に対する先入観や批判は、世界中で敏感になっています。性的少数派と呼ばれるLGBTQへの先入観や批判も同様です。「女性活躍推進法」が施行されて5年近くが経過した今、同じ職業生活を送る者同士が尊重し合える関係性を築くことが、ジェンダー平等を実現させるためには一番大切だと私は考えます。
女性に限らず、多くの労働者が働きがいや誇りが持てる職場環境の形成のために、各種認証制度や助成金を活用することも有効です。