心理的安全性と自律的組織
心理的安全なチームとは、「メンバー同士が健全に意見を戦わせ、生産的でよい仕事をすることに力を注げるチーム・職場のこと」(石井遼介氏 株式会社ZENTech取締役 以下同様)です。
日本の組織では、次の4つの因子があるとき、心理的安全性が感じられるといわれています。
(1) 話しやすさ → 何を言っても大丈夫
(2) 助け合い → 困った時はお互い様
(3) 挑戦 → とりあえずやってみよう
(4) 新奇歓迎 → 異能どんと来い
この4つの因子の行動分析をみてみると
(1) 話しやすさ
話す・意見を言う・報告する・連絡する・建設的な反論を行う・たずねる・確認する・質問する・共有する・雑談する
マネジャーは、聞く・傾聴する・相槌を打つ・御礼を言う
(2) 助け合い
助けを求める・協力を求める・トラブルやミスについて話す・相談する・お願いする・経緯を話す・これまでの対応と結果を話す・顧客訪問し謝罪への同行を依頼する
マネジャーは、話を聞く・方針を示す・解決策を考える・分担し対応する・業務を引き取る
(3) 挑戦
試す・工夫する・実験、模索する・企画する・手を挙げて機会をつかむ・プロセスを変更する・アイデアを共有する・仮説検証する・新しい行動パターンを取り入れる
マネジャーは、挑戦を歓迎する・工夫を促す・まず承認する・機会を与える・新しい取り組みを促す・常識はずれを歓迎する
(4) 新奇歓迎
自分なりのものの見方・見解を共有する・強みを活かす・得意な分野の仕事を引き取り、弱い分野の仕事を委任する・自分が何を大切にしているかを共有する
同質を求めず違いを歓迎する・包摂する・個性、らしさに応じた最適配置、役割決め・さまざまな視点、ものの見方を歓迎する
心理的安定性は、「罰」によらず「言葉」によって成し遂げることをよしとします。
「言葉」で教えてもらえれば、まだ行動していないのに「適切な行動」を学ぶことが出来ます。
つまり、動物であれば、道路に近づいて車が猛スピードで走ってきて、恐怖を味わってはじめて、道路に飛び出すと危ないと学習します。
一方、言葉がある程度以上発達した子供であれば、恐い思いをしなくても「道路に飛び出すと危ない!」と言葉で学ぶと適切な行動がとれます。
言葉から影響をうける行動には次の3つがあります。
(1) 言われた通り行動→言われた通り、ルール通りに行動する
(2) 確かにそうやな行動→ルールに従って得られる「みかえり」によって行動する
(3) そんな気してきた行動→「みかえり」の強さが変わる
職場にあるさまざまな「不十分な仕事」の多くは、メンバー一人一人が「言われた通り行動」をとっており、「確かにそうやな行動」になっていないからだといわれています。
心理的安定性が増すなかで、メンバーがルールに「接触・実感」できる「確かにそうやな行動」を増やし、「言われた通り行動」を減らすことが大切になってきます。
そして、「そんな気してきた行動」に転化した時に、「仕事自体が楽しい!」「重要なことをしている実感」が蔓延して、メンバーの自発性が発揮され、自律的組織へと進化していきます。
心理的安定性に支えられた自律的組織をめざすための3つのステップを紹介します。
(1) あなたの「コア業務」つまり、仕事でいつもやっている重要なことはなんですか?
(2) その業務には、どんな「大切にしたいこと」や意義・意味を込めることができそうですか?
(3) あなたの、その業務の影響を受ける人々や社会について、より広く・深くイメージしてみてください。その人々に、どのような良い影響をもたらすことができそうですか?
自分自身を変えることで組織は変わります。行動は「自分から」です。