時間の構造化
今回取り上げる「時間の構造化」とは、エリック・バーンの言葉によれば次の通りです。
「人間は退屈ということに耐えられず、” ゆりかごから墓場 ”までの自分の一生を、6つの方法を使って構造化する」と言っています。
つまり、時間の構造化とは、
「ストロークをより多く交換するために6つのカテゴリーに分けて時間を構造化するもの」だと言っています。
6つのカテゴリーとは、①閉鎖・引きこもり ②儀式・儀礼 ③雑談・気晴らし ④活動・仕事 ⑤心理ゲーム ⑥親交・親密 です。
では、それぞれ見ていきます。
①「閉鎖・引きこもり」
たとえば、朝礼で社長が話をしているにも関わらず、その話に集中せず、心理的に ” 今、ここ ” にいません。身体的には会議の場にはいますが、心理的に他者から離れている状態です。他者とのストロークの交換はありません。ストロークの密度は、6つのカテゴリーの中では最も薄いですが、他者からの否定的なストロークを受ける恐れはないので、「安全」です。ある程度の「閉鎖・引きこもり」は、健全で、健康的な普通の行為です。自分の欲求や感情、行為を振り返ったり、明日への英気を養ったりするために「閉鎖・引きこもり」の時間を取ります。いわゆる ” 一人の時間 ” です。
②「儀式・儀礼」
たとえば、「おはようございます」「こんにちは」「お疲れ様」などの日常の挨拶、結婚式の祝辞や葬儀の弔辞などです。ストロークの密度は薄いですが、予測可能で安全なストロークの交換ができます。その結果、存在認知が得られたと感じます。また、「儀式・儀礼」は、より密度の高い時間の構造化への入口となります。もし挨拶をしても返さない人が居たら、聞こえなかったのかなと、もう一歩近づいて、にこやかに挨拶することにより、「閉鎖・引きこもり」からの脱却となります。
③「雑談・気晴らし」
たとえば、家族の団らん、職場の休憩時間やサークル仲間との飲み会、ご近所の方との立ち話などです。「儀式・儀礼」ほど定型的ではありませんが、暗黙の了解の下、相補的交流を主とした、礼儀正しく時を過ごす方法で、多くの肯定的ストロークの授受ができます。ただし、一定の形式を踏むといっても自由さは広がり、その分否定的なストロークを受ける危険も高まります。また、「雑談・気晴らし」は、互いに相手を観察し、よりストローク密度の濃い「活動・仕事」や「心理ゲーム」に移ってもいいかどうかの ” 品定めの時 ” でもあります。
④「活動・仕事」
たとえば、生産的は行為に携わっている時間だけでなく、掃除や洗濯、料理といった家事も含みます。「活動・仕事」のストロークは、種類も多くなり、条件付きもしくは無条件の肯定的・否定的ストロークの交換が行われ、密度はかなり濃くなります。一般的に「仕事」といわれる業務中の時間の全てが、時間の構造化でいう「活動・仕事」に当たるのではなく、「儀式」や「雑談」、「閉鎖」などでも時間を構造化しています。つまりは、朝夕の挨拶である「儀式・儀礼」は欠かせませんし、仕事の合間に隣の席の人と昨夜のニュースの話や、週末の過ごし方について「雑談・気晴らし」の時間を持つなどはよくあります。また会議の時間中によそ事を考えて「閉鎖・引きこもり」に入るなどといった場合です。
⑤「心理ゲーム」
たとえば、夫婦、親子、上司・部下など、近い存在の人、親しい人との間で行われるものです。つまりは、近い人からの存在認知が欲しい場合の自分だけに与えられる濃厚なストロークです。
⑥「親交・親密」
信頼と愛情に裏付けられた率直な交流で、隠されたメッセージは無く、お互いに心をオープンにして、思いや気持ちを分かち合います。交流分析のゴールの一つです。しかし、「親交・親密」は、心をオープンにすることで傷つく危険度も高く、たとえ肉親でも意見や考えに相違があり、大変勇気のいることです。
さて、自分自身の1日はどのように構造化されていますか。典型的な自分自身の1日を24時間の円グラフで明示して、カテゴリーのどれかに偏っていないか自己で認識してみてください。
ちなみに、私の場合は、睡眠時間を最低でも6時間確保するために何を削ればいいかを考えてみました。参考までに。