介護離職を防止する為の取組み
2021/08/16
「みなさんの会社で、今から5年以内に介護が必要になる可能性のある社員は何パーセントいますか?」
先日受講した介護セミナーで受けた質問のひとつです。コラムをお読みのみなさんはいかがでしょうか。自分の家族のことは何となくイメージできても、他の人がどうかまで考えたことが無かった、という方もおられるでしょうか。
少子高齢化が進む今の日本は「超高齢社会」で、介護は避けては通れない問題となっています。そして団塊世代が75歳を迎え、4人に1人が後期高齢者となる「超・超高齢社会」に突入すると言われている、いわゆる2025年問題についても、あと4年弱と目前に迫っています。団塊世代が75歳以上になるということは、団塊世代を介護することが予想される団塊ジュニア世代は30第後半から40代が層となります。会社のこれからを担う世代とも言えます。
平成28年度版高齢社会白書によると、介護を機に離職をした理由は『仕事と「手助け・介護」の両立が難しい職場だったため』が約62%と半数以上の割合を占めています。この半数以上の割合がすべて団塊ジュニア世代だとしたらどうでしょうか。会社としても重要な役職を担っている従業員が離職してしまっては大きな痛手となります。仕事と介護の両立が可能な職場であれば、この約62%の従業員は離職しなかったかもしれません。
両立支援制度等で育児と介護はセットで考えられることが多いです。育児は出産予定日が分かることから先の予定が立てやすいですが、介護の場合は、短時間勤務なら出勤できるのか、在宅なら勤務可能なのか、つきっきりの介護が必要で退職せざるを得ないのか等、様々なケースがあり今後の見通しも立てづらいものです。いつまで介護が必要になるのか予測できず、会社に言いづらいと感じる従業員が多い反面、会社としては従業員からの報告が無いと把握ができません。
介護離職を防止する為には法定の制度を整えること、制度を利用しやすい職場づくりを行うこと、更には介護に直面した従業員に情報提供を行う等、様々な取組みが考えられます。まずは会社の現状を把握し、2025年には、冒頭の質問「みなさんの会社で、今から5年以内に介護が必要になる可能性のある社員は何パーセントいますか?」について、社長はじめ全従業員が即答できるような取組みをスタートしてはいかがでしょうか。
内閣府 平成28年度版高齢社会白書
「高齢者の介護」
https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2016/zenbun/pdf/1s2s_3_2.pdf